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【連載第8回】
鼻アレルギーは鼻粘膜のどこで起きているのか

2007/03/26

指導医O:「鼻アレルギーⅠ型アレルギーに分類されています」
研修医P:「はい。でもⅠ型アレルギー反応は、鼻粘膜のどの部分で起こっているのですか」

指導医O:「Ⅰ型アレルギーには抗原肥満細胞抗原特異的IgE抗体の3点セットが必要です。そこでこの3点セットが鼻粘膜のどの部分に存在するかが分かれば、Ⅰ型アレルギー反応が起こっている場所が分かりますね。ここに興味深い実験があります。ラジオアイソトープをラベルした抗原を使って、鼻粘膜誘発試験を行った実験です」
研修医P:「抗原を鼻粘膜に載せて、5分後にくしゃみ、鼻水が誘発されるか見る検査ですね」
指導医O:「症状が誘発されたところで、抗原が鼻粘膜のどの部分に存在するか調べます。抗原が存在する部分でアレルギー反応が起こっているのです」
研修医P:「でも、アレルギーは異物除去反応ですから、くしゃみ、鼻水によって抗原が洗い流されるのではないですか」
指導医O:「はい、その通りの結果でした。鼻粘膜表面に、ほんの少し抗原が残っている以外は、ほとんどの抗原は排出されていました。しかし、このことから鼻アレルギー反応は鼻粘膜の表面で起こる必要があることが分かります」

研修医P:「じゃ、次は肥満細胞ですが、組織の教科書には鼻粘膜の深い部分、特に血管の周囲に多く存在すると書かれていますが、矛盾しませんか」
指導医O:「そう、矛盾しますね。しかしこの矛盾が、2種類の肥満細胞(粘膜型肥満細胞結合組織型肥満細胞)発見のきっかけになりました」
指導医O:「従来、ホルマリン固定トルイジンブルーで染色していた時代は、P先生が言ったように、鼻粘膜の深い部分(鼻粘膜固有層)に存在する結合組織型肥満細胞しか染まりませんでした。Carnoy、Mota固定で染色しますと、鼻粘膜上皮層にもたくさんの肥満細胞が染色されました。これで先ほどの矛盾は解決しました。Enerbackが1966年に発見した肥満細胞の亜型が、鼻粘膜表面に存在したのです。粘膜型肥満細胞と呼ばれ、鼻粘膜表層で鼻アレルギー反応に重要な役割を果たしています」

著者プロフィール

大西正樹(大西耳鼻咽喉科院長)●おおにし まさき氏。1979年和歌山県立医大卒後、日本医大耳鼻咽喉科学教室入局。81年同大助手。85年カナダ・マックマスター大留学。93年墨田区に大西耳鼻咽喉科を開業。

連載の紹介

【臨床講座】ゼロから学ぶ花粉症診療ゼミナール
耳鼻科にローテートしてきた研修医P君が、指導医O先生と医局で雑談するという設定で、花粉症の診断、症例に応じた治療法の選択、患者指導のコツなど花粉症診療のイロハを紹介します。

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