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【連載第7回】
妊婦と幼児にはどう処方する?

2007/03/19

指導医O:「Cさん、今日の診察にはP先生も同席させてくださいね。今日はどうしましたか」
患者C :「くしゃみ、鼻水で苦しんでいます。もしかしたら妊娠しているかもしれないのですが」
指導医O:「前回の生理が始まった日から27日たちましたか」
患者C :「まだです」
指導医O:「それでは27日目まではお薬を服用してもかまわないです。処方しておきますね」
患者C :「お薬を飲んでも大丈夫なのですか」
指導医O:「妊娠1カ月までは無影響期と呼ばれていますから。しかし28日目を過ぎても生理がなければ、妊娠2カ月と考え、薬はいったん中止しましょう。この時期は絶対過敏期で、胎児は薬の影響を受けやすいといわれていますから」
研修医P:「お薬を中止している間、妊婦は症状が出ても我慢するしかないのですか。妊娠中はうっ血性鼻炎の傾向となって、症状は悪化しやすいと聞きましたが」
指導医O:「そうですね。妊娠4カ月半ばまでは器官形成期ですから、原則、薬の服用は避けた方が安全です。鼻閉の症状は、温熱療法、入浴、蒸しタオル、マスクでしのぐことになりますね」

研修医P:「妊娠4カ月以降はどうですか」
指導医O:「どうしても処方が必要なら、オーストラリア医薬品評価委員会評価基準カテゴリーAの薬か米国FDAカテゴリーBの薬にします」
研修医P:「具体的には、どんな薬剤を処方すればよいのでしょうか」
指導医O:「第1世代抗ヒスタミン薬ではポララミンレスタミンペリアクチン、第2世代抗ヒスタミン薬ではクラリチンジルテックケミカルメディエーター遊離抑制薬ではインタールソルファです」

研修医P:「ステロイド薬はいかがですか」
指導医O:「虎の門病院方式では、絶対過敏期を除けばプレドニンの経口投与は大丈夫ということになっていますが、私は経験がありません。局所吸収性の低い鼻噴霧用ステロイド薬は、鼻アレルギー診療ガイドライン(2005年版)で『胎児への毒性はヒトでは報告がない』と書かれています。1983年、2004年(参考文献参照)の報告でベクロメタゾンは安全といわれています」

研修医P:「妊婦について、ガイドラインでは何と書いているのでしょうか」
指導医O:「妊娠4カ月以降で薬物の投与が必要ならば、インタールなどの鼻噴霧用ケミカルメディエーター遊離抑制薬、鼻噴霧用抗ヒスタミン薬、鼻噴霧用ステロイド薬などの局所用剤を少量用いる。また点鼻用血管収縮薬の局所投与も最少量にとどめる、となっています」
研修医P:「分かりました。他に妊婦に適用できる治療法はありませんか」
指導医O:「前もって準備ができるのであれば免疫療法、いわゆる減感作療法は妊婦に安全といわれています」

著者プロフィール

大西正樹(大西耳鼻咽喉科院長)●おおにし まさき氏。1979年和歌山県立医大卒後、日本医大耳鼻咽喉科学教室入局。81年同大助手。85年カナダ・マックマスター大留学。93年墨田区に大西耳鼻咽喉科を開業。

連載の紹介

【臨床講座】ゼロから学ぶ花粉症診療ゼミナール
耳鼻科にローテートしてきた研修医P君が、指導医O先生と医局で雑談するという設定で、花粉症の診断、症例に応じた治療法の選択、患者指導のコツなど花粉症診療のイロハを紹介します。

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