日経メディカルのロゴ画像

【連載第5回】
ステロイド薬を使いこなそう

2007/03/05

研修医P:「鼻アレルギー診療ガイドラインではステロイド薬の使用が明記されていますが、副作用を考えると、ちゅうちょしますね」
指導医O:「しかし、うまく使用すればステロイド薬は花粉症治療の強力な武器となります。ガイドラインでは、中等症から鼻噴霧用ステロイド薬の併用を勧めています。さらに重症、最重症では、期間を限って経口ステロイド薬の併用を認めています」
研修医P:「経口ステロイド薬やステロイドの筋注について、O先生はどう考えていますか」
指導医O:「鼻噴霧用ステロイド薬が登場する以前の治療法と考えています。経口ステロイド薬やステロイドの筋注については、鼻噴霧用ステロイド薬が発売される前に、数多くの報告が出されています。例えば…この本(参考文献)では、1錠5mgのプレドニゾロンをシーズン中、約2カ月の間に20~40錠使うと書かれています。花粉の飛散量は日によって変化し、症状もそれに伴って変化するので、症状の強い日に1~1.5錠/日服用するよう指示しています」
研修医P:「筋注は効果が高いのでしょうか」
指導医O:「ステロイド薬の経口投与と筋注の比較試験が1961年に報告されています。メチルプレドニゾロン80mg筋注とプレドニゾロン総量100mg経口投与(25mg/日、20mg/日、15mg/日、10mg/日、5mg/日を6日間)を比較していますが、両群間に副作用、効果の上で何ら差は認められなかったとのことです。でも、花粉症は日によって症状が変化しますから、副作用を考慮すれば、1度に注射する方法より、症状によって服用量を調節できる経口投与を勧めています」

鼻噴霧は安全な上、経口、筋注と同等の効果
研修医P:「ステロイド薬を鼻に噴霧するようになったのはいつごろからでしょうか」
指導医O:「1950年ごろから既に行われていますね。ただ、このころの噴霧用ステロイドは、単に従来のステロイド薬を鼻から投与しただけだったのです。そのため効果が不十分で、容易に鼻粘膜から吸収され、経口ステロイド薬と同様の副作用に悩まされることになったのです。唯一、1968年にベタメタゾン(betamethasone valerate)のエアロゾルを用いて通年性アレルギー性鼻炎の治療に成功していますね。しかも副腎皮質機能抑制を起こさない投与量で」
研修医P:「そんなに昔から行われていたんですか。現在使われている鼻噴霧用ステロイド薬は、いつごろ登場したんですか」
指導医O:「局所用ステロイド薬として一番古いのはベクロメタゾン(Beclomethasone dipropionate;Bdp、商品名;ベコナーゼ)ですね。ベクロメタゾンは1967年に湿疹の薬として登場したのですが、1972年に喘息患者に使用されて、400μg/日のBdpの吸入が血漿コルチゾルに影響を与えることなくプレドニン5~10mg/日の経口投与と同程度の効果を発揮したと報告されたのです。その後、1975年にBdp鼻噴霧のレビューが紹介されています」

著者プロフィール

大西正樹(大西耳鼻咽喉科院長)●おおにし まさき氏。1979年和歌山県立医大卒後、日本医大耳鼻咽喉科学教室入局。81年同大助手。85年カナダ・マックマスター大留学。93年墨田区に大西耳鼻咽喉科を開業。

連載の紹介

【臨床講座】ゼロから学ぶ花粉症診療ゼミナール
耳鼻科にローテートしてきた研修医P君が、指導医O先生と医局で雑談するという設定で、花粉症の診断、症例に応じた治療法の選択、患者指導のコツなど花粉症診療のイロハを紹介します。

この記事を読んでいる人におすすめ