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本人は入院、家族は在宅看取り希望…どう調整?

70歳女性。増田啓子さん(仮名) 主訴:大腸癌(末期)

 11年前から、高血圧症、2型糖尿病で一条ファミリークリニックへ定期通院中。6年前に大腸癌が見つかり、総合病院にて手術。その後は転移もなく経過していましたが、1年前に肝転移を指摘されました。化学療法を開始したものの、半年後に腹膜播種、腹水貯留を認めたため、化学療法を終了。癌の進行や化学療法が難しいことなどに関しては総合病院の主治医から説明があり、増田さん、ご家族ともに理解されていましたが、生命予後に関しては何も聞かされていません。

 増田さんは夫の正和さん、息子の直樹さん、その妻の香織さん、孫の優奈ちゃん、悠斗くんの6人暮らしです。直樹さん夫婦は共働きのため、よく増田さんが優奈ちゃん、悠斗くんの面倒を見ています。

 これまで、一条ファミリークリニックの外来では、一条医師がアドバンス・ケア・プランニング(ACP)を実施し、外来に通院できなくなった際の療養の仕方などを少しずつ話し合ってきました。増田さんは、自宅での最期を希望する一方、直樹さん夫婦は共働きで、正和さんは性格・経験的に介護力は高くないという理由から、自宅以外で最期を迎えることもやむを得ないと考えています。

 化学療法終了後も増田さんの体調は良好で、一条ファミリークリニックの外来には増田さん一人で通院していました。しかし、徐々に体力が低下し、通院は難しいと判断したため、増田さん、ご家族と相談し、訪問診療を導入する方針となりました。

連載の紹介

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