99歳女性。馬場富士江さん(仮名) 主訴:経口摂取困難
高血圧症、骨粗鬆症、アルツハイマー型認知症で、近医へ外来通院していましたが、2カ月前に発熱があり、尿路感染症との診断で中原病院(80床の中小病院)に入院しました。入院中はせん妄もあり、ADL(日常生活動作)が低下。退院後の外来通院は困難と判断され、一条ファミリークリニックに訪問診療の依頼がありました。
馬場さんは、長女の英子さんと二人暮らしです。退院後、一条医師が訪問すると、食事摂取量は少ないものの、大好きなお菓子などを食べることはできていました。英子さんと今後について相談したところ、「食べられる範囲で食べてもらって、食べられなくなったら無理はさせたくない」という希望だったので、人工的水分・栄養補給法は導入しないこととしました。
徐々に食事摂取量が低下し、1日当たりお菓子を数口程度しか食べられない状態となりました。本人から苦痛の訴えはなく、英子さんも「食事量はかなり少なくなってきたが、年のせいだから仕方がない」と話していました。その後、馬場さんは日中もウトウトする時間が増え、ほぼ経口摂取不能となりました。
ある日、馬場さんを担当している訪問看護ステーションひかりの橘看護師から一条医師に電話がありました。「英子さんが中心静脈栄養を希望して、病院に入院させてほしいと言っている」とのことです。