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第12回
SGLT2阻害薬の処方時に注意すべき4症状とは

2018/03/15
岩岡秀明(船橋市立医療センター代謝内科部長)

 低血糖のリスクが低く、体重減少も期待できると注目されているSGLT2(sodium glucose co-transporter 2)阻害薬。今回は、SGLT2阻害薬がどのような薬剤で、処方する際には何に気を付ければよいのかという点を中心に解説します。なお、期待されている心血管病抑制・心不全抑制・腎機能保護効果については次回、紹介する予定です。

 2型糖尿病の第一選択薬はメトホルミンですので、SGLT2阻害薬は、メトホルミンで血糖コントロールがつかない患者への併用処方が基本となります。

 つまり、処方の対象となるのは食事・運動療法に加えてメトホルミンの投与をしても血糖が良好にコントロールできない、肥満型で腎機能が保たれている心血管イベントがハイリスクな75歳までの2型糖尿病患者と考えられています(ただし、65~74歳でもサルコペニアや認知機能低下、ADL低下などの老年症候群がある場合は慎重投与)。

 SGLT2阻害薬は、発売開始後まだ4年で、長期間での安全性は不明ですし、エビデンスも限定的で高価な薬剤です。本剤を第一選択薬として使用するのは時期尚早でしょう。

 SGLT2阻害薬は、腎臓の近位尿細管にあるSGLT2に作用して、ブドウ糖の再吸収を阻害することにより尿中にブドウ糖を排泄する血糖降下薬です。

 血糖値の低下はブドウ糖毒性の悪循環を解消するため、間接的に膵臓のβ細胞を保護する作用もあるといえます。また内臓脂肪を減少させることで、インスリン抵抗性も改善します。そのため、SGLT2阻害薬を内服すると、血中インスリンを下げながら血糖値を低下させられるのです。また、血糖降下作用にインスリンを必要としないため、本剤単独の処方であれば低血糖は起こしません。

 SGLT2阻害薬のHbA1c低下効果は約1%とされていますが、血糖値が高い症例では原尿中に排泄されるブドウ糖が増加するため、血糖改善効果はより大きくなります。そしてその改善効果は空腹時血糖値(約30mg/dLの低下)よりも、食後血糖値(約50mg/dLの低下)の方が大きくなります。

 また、糖尿病患者ではSGLT2阻害薬の服用により、約100g/日のブドウ糖が排泄されるため、約400kcalのカロリー減となり、約2~3kgの体重減少効果が期待できます。

 一方、尿糖の排泄量は腎機能(GFR)に依存するため、腎機能が低下した患者では効果を発揮できません。腎機能がeGFRで45~60mL/分になると効果は約半分になり、45mL/分未満になるとその効果は認められなくなります。したがって、腎機能が低下している患者にSGLT2阻害薬を使用しても、血糖改善作用は期待できません。

著者プロフィール

岩岡 秀明(船橋市立医療センター代謝内科部長)●いわおか ひであき氏。1981年千葉大卒後、同大第二内科入局。2002年4月より船橋市立医療センター。2012年より千葉大学医学部臨床教授を併任。日本糖尿病学会専門医、同学会学術評議員、日本内分泌学会専門医。主な編著書:「ここが知りたい! 糖尿病診療ハンドブック」、「内分泌代謝内科グリーンノート」(いずれも中外医学社)など。

連載の紹介

岩岡秀明の「糖尿病診療のここが知りたい!」
最新のエビデンス・ガイドラインに基づき、糖尿病診療で把握しておくべき知識、症状に合わせた治療方針の組み立て方、患者指導の勘所、薬剤の使い分けなどについて重要なポイントを解説する連載。患者の症状や年齢、生活習慣に合わせたワンランク上の糖尿病診療を行う秘訣を、ベテラン糖尿病専門医である岩岡秀明氏が紹介します。
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