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第10回ADA「糖尿病の標準診療2018」を読み解く
メトホルミン長期投与でビタミンB12欠乏に注意

2018/02/01
岩岡 秀明(船橋市立医療センター 代謝内科部長)

 米国糖尿病協会ADA)は昨年12月に、米国における糖尿病の標準診療「Standards of Medical Care in Diabetes」の2018年版を発表しました。これは毎年年末に公開され、糖尿病標準診療の指針として世界中で広く使用されています。

 全文は150ページ以上もあるため、今回は2型糖尿病の薬物療法と高血圧合併例への治療に関して注目すべきポイントをご紹介させていただきます。詳しくは、ぜひ本文をお読みください(充実した内容が無料で公開されていることは日本糖尿病学会も見習うべきでしょう)。

 では早速、2型糖尿病の薬物療法の項から見ていきます。

 同指針で最も注目すべきは、様々な薬剤が実用化されているものの、禁忌でなくかつ忍容性があれば、メトホルミンを最初の薬剤として使用することを強く推奨(エビデンスレベルA)している点です。当然、日本人でも禁忌でなければ、メトホルミンを第一選択薬として使用すべきでしょう。

 ただし、メトホルミンを長期間使用する場合は、ビタミンB12 欠乏に注意が必要です。特に貧血または末梢神経障害がある患者では、その原因がビタミンB12欠乏である可能性があります。定期的なビタミンB12量の測定を考慮することを勧めています(エビデンスレベルB)。

 このメトホルミンの長期使用によるビタミンB12欠乏の懸念は、以前から指摘されてはいましたが、2017年版の「Standards of Medical Care in Diabetes」から記載されています。

 なお、薬剤の選択に当たっては、「患者中心アプローチ」を使うべきとし、考慮すべきこととして、以下の8項目を挙げています(エビデンスレベルE)。

著者プロフィール

岩岡 秀明(船橋市立医療センター代謝内科部長)●いわおか ひであき氏。1981年千葉大卒後、同大第二内科入局。2002年4月より船橋市立医療センター。2012年より千葉大学医学部臨床教授を併任。日本糖尿病学会専門医、同学会学術評議員、日本内分泌学会専門医。主な編著書:「ここが知りたい! 糖尿病診療ハンドブック」、「内分泌代謝内科グリーンノート」(いずれも中外医学社)など。

連載の紹介

岩岡秀明の「糖尿病診療のここが知りたい!」
最新のエビデンス・ガイドラインに基づき、糖尿病診療で把握しておくべき知識、症状に合わせた治療方針の組み立て方、患者指導の勘所、薬剤の使い分けなどについて重要なポイントを解説する連載。患者の症状や年齢、生活習慣に合わせたワンランク上の糖尿病診療を行う秘訣を、ベテラン糖尿病専門医である岩岡秀明氏が紹介します。
編集部からのお知らせ
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