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糖尿病の救急 低血糖編
すべての意識障害で、まず低血糖を除外!

2011/12/16
岩岡秀明

 「糖尿病の救急」の2回目は、高血糖よりも、より迅速な診断・治療が必要となる低血糖昏睡)について解説する。

頭部CTの前に血糖測定を
 すべての意識障害患者における診療の第一歩は、まず低血糖を除外することである。低血糖は、高血糖よりも速やかな治療を要する。

 低血糖では意識障害のほか、片麻痺などの巣症状を認めることもある。「片麻痺=脳血管障害」と単純に考え、すぐに頭部CTをオーダーするのではなく、まずは簡易血糖測定器で血糖を測定することが大切である(もちろん、同時に中央検査室での血糖測定も実施する)。

 そのほか、低血糖では悪心、顔面蒼白、幻覚といった症状が出ることもある。なお、血糖値と臨床症状・徴候には、個人差が大きいことも留意してほしい。また、高齢者の低血糖による異常行動は、認知症と間違いやすいため、注意が必要である(参考文献1)。
 
 低血糖の誘因としては、食事摂取量の減少、インスリンや経口薬の使用量の誤り、アルコール摂取、アスピリンなど他の薬剤投与、普段以上の運動などがある。治療は患者の意識障害の有無や経口摂取の可否によって異なる。具体的には以下のように対処する。

(1)意識障害がない(経口摂取が可能な)場合
・ブドウ糖10~15gを服用させる(砂糖、ジュースなどでも可)。
・ブドウ糖服用後、5~10分たっても症状の改善がなければ、さらに追加服用させる。

(2)意識障害がある(経口摂取が不可能な)場合
 以下の順番で対処する。
・グルカゴン1バイアル(1mg)1回筋注(静注でも可)。ただし、肝硬変を伴っている場合は無効である。
・10%ブドウ糖で血管確保し、50%ブドウ糖40mLを静注する。静注後、5~10分たっても回復しない場合は、さらに40mLを静注する。
・10%ブドウ糖500mLを点滴静注する。

 上記の処置を行っても回復せず、副腎不全や脳浮腫が疑われる場合、頭部CTスキャンを撮り、以下の処置を行う。
・ヒドロコルチゾン (商品名ハイドロコートン)100~250mg静注、またはデキサメタゾン(デカドロンなど)10mg静注。および20%マンニトール 200mL点滴静注。

多剤処方でも、SU薬は「別包」に
 経口血糖降下薬(SU薬)による低血糖は遷延することが多く、特に腎機能が潜在的に低下している高齢者では、SU薬の効果は3~4日間以上も持続することがある。そのため、救急外来で一度意識が回復しても必ず入院加療とする必要がある。表1にSU薬による低血糖(昏睡)の特徴を示す。

著者プロフィール

岩岡 秀明(船橋市立医療センター代謝内科部長)●いわおか ひであき氏。1981年千葉大卒後、同大第二内科入局。2002年4月より船橋市立医療センター。日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本糖尿病学会専門医・指導医。

連載の紹介

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