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糖尿病の初回診療、専門医に紹介すべき患者とは?

2011/02/21

 筆者が大学医学部を卒業したのは1981年であり、初期臨床研修を終えて糖尿病研究室に所属した1980年代半ばにおいては、2型糖尿病に使用できる経口血糖降下薬はスルホニル尿素(SU)薬のみ(当時ビグアナイド薬は乳酸アシドーシスへの危惧から禁忌とされていた)であった。

 ほぼ極量近くまでグリベンクラミド(商品名オイグルコン、ダオニール)を使用し、それでも血糖コントロールが困難な場合にはブタのインスリンを精製した中間型インスリン製剤の1回注射、または2回注射に変更するという時代であった。ベテランの内科医の先生からは、「糖尿病の診療なんて内科医なら誰でもできるよ」と軽視されていた。

 それから約25年が経過し、2009年末からは全く新しい作用機序のインクレチン関連薬も加わったことで、今では6系統の経口血糖降下薬が使用可能となった。インスリン製剤はヒト型およびヒト型アナログになり、デバイスや使用法も大きく進歩。2型糖尿病に対しても、強化インスリン療法(就寝前の持効型インスリンと各食直前の超速効型インスリンによる1日4回の注射法および各食直前の超速効型インスリン3回の注射法)が主体となった。こうした変化により、各種薬剤の使い分けや選択が、これまで以上に重要かつ難しくなってきている。

 本連載では、糖尿病が専門ではないが、糖尿病患者の日常診療をされている先生方を主な読者として想定し、症例も適宜交えながら、具体的かつ実践的な糖尿病診療のポイントを解説していきたい。

糖尿病専門医との連携が必要な場合
 さて、本連載第1回は、主に日本糖尿病対策推進会議が作成した小冊子「糖尿病治療のエッセンス2010-2011」をベースに、一部筆者の考え方も織り交ぜながら、糖尿病患者初回診療時のポイントを解説する。「糖尿病治療のエッセンス2010-2011」は、日本糖尿病学会・日本医師会が中心となり、糖尿病を専門とされない実地医家向けに糖尿病診療のポイントを簡潔にまとめたとても有用な冊子の最新版である。ぜひ日常診療に役立てていただきたい。

 まず初めに、糖尿病専門医との連携が必要な場合を記す。先にも触れたように、糖尿病の治療法は大きく変化しており、それに伴い専門医との連携の重要性も増している。患者が以下のような症状・病態を呈している場合には、専門医へのコンサルトが必要となる。

1)1型糖尿病
 自己免疫性あるいは特発性に膵β細胞が破壊され、絶対的インスリン欠乏に至る。発症時には、多くの場合、急速な症状の出現(口乾、多飲、多尿、倦怠感)、体重減少、高血糖、尿ケトン体陽性などが認められる。

2)急性合併症
 高血糖(300mg/dL以上)で脱水所見があり、尿ケトン体陽性の場合は、糖尿病ケトアシドーシス(DKA)の可能性がある。また尿ケトン体が陰性でも、高齢者などで脱水徴候が著しい場合は、高浸透圧高血糖症候群(HHS)の可能性がある。急性期には入院治療が必要となる。

3)インスリン治療の導入
 2型糖尿病におけるインスリン療法は、早期に導入すれば離脱が可能な場合も多い。また、インスリンは製剤・デバイスの種類も多くある上に注射回数も様々である。インスリン治療に不慣れな場合、特に導入については、専門医に依頼していただきたい。

4)妊娠
 妊娠中に発見された糖尿病、糖尿病合併妊婦、妊娠を希望する糖尿病患者は専門医に紹介していただきたい。

5)血糖コントロール「不可」が続く場合
 複数の薬剤を使用していても血糖コントロール「不可」(3ページの表1参照)が続く場合には、薬剤の変更・追加、インスリン療法への変更、食事療法の再指導、必要に応じて教育入院などが必要であり専門医に紹介していただきたい。

 日本糖尿病学会のホームページには、全国の糖尿病専門医の氏名・勤務先一覧を地域別に検索できる機能がある。連携先に迷う場合などは、こちらもぜひご活用していただきたい。

著者プロフィール

岩岡 秀明(船橋市立医療センター代謝内科部長)●いわおか ひであき氏。1981年千葉大卒後、同大第二内科入局。2002年4月より船橋市立医療センター。日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本糖尿病学会専門医・指導医。

連載の紹介

【臨床講座】糖尿病診療「こんな時どうする?」
インクレチン関連薬の登場、インスリン療法のデバイスの進歩などに伴い、糖尿病治療における薬剤の使い分けや選択は難しさを増しています。日常診療に役立つ実践的な診療ノウハウを、最新の知見を交えながら解説します。

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