日経メディカルのロゴ画像

教科書を読もう!その「素振り」が実戦に生きる

2016/06/10
石山 貴章(魚沼基幹病院)

ACPの会場にて。各分野、1年間のアップデートを含めた内科全般の講義は、朝7時から夕方まで3日間みっちりと続く。会場が埋まるほどの聴衆が集まり、さながら「大学受験の代々◯ゼミナール」といった感じである。良質な講義が重なる際にはどれに出席すべきか迷うことが多い。

 先日、ワシントンD.C.で開かれたACP(American College of Physician:米国内科学会)のナショナルミーティングに出席してきた。

 その際、セントルイスに寄り道し、久しぶりに「お師匠さん」の元を訪れた。わずか数日ではあったが、やはり師匠の元で過ごすと、得るものが多い。それは、自分の中の「基本」の確認である。

 これまで日米の医学生あるいは研修医に、自分が学んできたことを色々な場で伝えてきた。それは書き物であったり、ベッドサイドでの教育であったりしたのだが、その内容は基本的に、自分が経験してきたことを自分なりに咀嚼したものだった。

 今回師匠の教育の現場を、改めて第三者の目で見てきて感じたこと。それは、自分の「咀嚼内容」と彼がレジデントに伝えている言葉との一致からくる、「安心感」であった。これからしばらく続く本連載のテーマ、それは“Thinking is the procedure.”である。だがその前に、前提となる「インプット」の話をしたい。

 インプットの「絶対量」を増やそう。これが、今回のテーマだ。さらに、可能な限りエビデンスに基づいた知識を得よう。もちろん、知識だけではダメだ(必要条件だが、十分条件ではない)。ただし、知識がなければ話にならない。

インドの医学生は全員Harrisonを卒業までに読了
 さて、唐突だがここでインドのお話。インドでは、医学生は全員、卒業までに必ず『ハリソン内科学』の原著『Harrison's Principles of Internal Medicine』を全て読ませられるという。書き間違いではない、インドの医学生だ。米国ではない。

 Harrison原著を全て読み終えた内科医あるいは医学生が、日本に何人いるのだろう。誤解を恐れずに言えば、インドはまだまだ発展途上国で、日本の後塵を拝していると考えている人が多いのではないだろうか。私の米国での経験から言えば、少なくとも米国に留学に来れるくらいの人々の知的レベルは非常に高く、はっきりいって平均的な日本人よりは上だ。そして、日本に追い付け追い越せとやってきた、そのハングリー精神も、はっきりと日本より上である。

著者プロフィール

石山貴章●いしやま たかあき氏。1997年新潟大学卒業後、同大外科学教室入局。2002年米ワシントン大学セントルイス校リサーチフェロー、St.Mary's health center内科レジデント、ホスピタリストを経て、2015年魚沼基幹病院総合診療科部長。2018年再び渡米し、セントルイス市の病院でホスピタリストとして勤務。

連載の紹介

石山貴章の「イチロー型医師になろう!」
米国の病院でホスピタリストの勤務経験を持つ気鋭の総合診療医、石山氏が投・打・守・走全ての能力を兼ね備えたイチロー選手のように、あらゆる症例を診療できる総合診療能力を有する「イチロー型医師」になるための道標を示す。

この記事を読んでいる人におすすめ