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《番外編》眼科医の母の多焦点眼内レンズ体験記
多焦点眼内レンズの満足度はいまひとつか?

2009/06/25

 75歳の母がついに白内障手術を受けました。白内障の手術は眼科では一般的であるにもかかわらず、今回、父(元内科医)と姉(放射線科医)の話を聞き、他科のドクターにとって白内障の手術のイメージはいまだ20年以上前のものであることに気付きました。最近の白内障手術はどんなものなのか、他科のドクターのご参考になればと思い、母の手術の模様をお届けすることにしました。

レーザーで虹彩切開より白内障手術
 遠視(プラス3程度)の母は、語学学習が趣味で、板書と手元そして辞書を見る、という作業が多く、眼鏡処方でいつも苦労していました。眼科医はよく分かると思うのですが、どんな処方をしてもなかなか満足してくれないタイプの患者です。

 母は65歳ごろから白内障が軽く出始め、視力が不安定になり、ついに手術を決断しました。母は軽い糖尿病もあり、定期的な散瞳検査が必要なのですが、遠視眼でやや隅角が狭く、このまま白内障が進むとますます隅角が狭くなる可能性がありました。こういう眼で白内障がある場合には、レーザーで虹彩切開を行うより白内障手術を早めにする、という考え方をすることがあります。

 いわゆる遠近両用の眼内レンズ、多焦点眼内レンズを入れてもらおうと、東京歯科大水道橋病院のビッセン宮島弘子先生に手術を頼むことにしました。宮島先生は、老眼のある白内障患者には、積極的に多焦点眼内レンズを勧めていらっしゃいます(関連記事はこちら)。この病院での手術は日帰り手術となります。

 手術前の診察・検査には、元内科医の父が興味津津で付き添いました。帰宅後、母にちゃんと術前説明を聞いてきたのかと確認したところ、「『眼内レンズが入らない場合もあります』って書いてあるけど、そのときにはお金は払わなくていいのかどうかが気になり、集中して術前説明を聞けなかった」とのこと。多焦点眼内レンズは自費なので、料金が気になるのでしょう。眼内レンズが入らないのは、ものすごく珍しい症例です。もちろん眼内レンズが入らない場合には自費部分は請求されません。

著者プロフィール

石岡 みさき(みさき眼科クリニック院長)●いしおか みさき氏。1989年横浜市立大医学部卒。93年米ハーバード大スケペンス眼研究所。96年東京歯科大市川総合病院。98年両国眼科クリニック勤務。2008年より現職。

連載の紹介

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