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第9の地雷 乳幼児の眼帯に弱視の危険性

2008/02/10

 病院に勤務していたとき、小児科の先生から「虐待を受けた子どもで脳挫傷があり、視力に影響がないかどうか診てほしい」という往診依頼が来た。しかし、患児は首が座るか座らないかという年齢。これでは通常の視力検査はまだできず、乳幼児に使える検査の設備はその病院にはなかった。「動くものを目で追うかどうかくらいしか判定の方法がない」と伝えたら、小児科の先生は困っていたようだ。その後、この子は転院してしまい、どうなったのか分からないのが気がかりである。

 最近は少子化のためか、「親の顔を見てくれない」と生後間もない子どもを眼科に連れてくる母親にたびたび遭遇する。しかし、生後すぐの子どもは明暗の区別くらいしかついていないもので、生後1カ月でものの形が分かるようになり、3~6カ月でようやく視力0.1~0.2程度となる。大人と同じ方法で視力検査がだんだんできるようになるのは3歳くらいから。この時点で、半数以上が1.0見える。そして、6歳になるころには大人と同じくらいの視力となる。

 3歳以前に視力を検査する方法には、視運動性眼振(optokinetic nystagmus法:OKN法)、選択視法(preferential looking method:PL法)、簡便な方法としてはドットカードがある。OKN法は、縞模様を印刷したドラムを眼前で回転させる方法。縞が見えている間は視運動性眼振が起こるので、縞模様の幅から視力を推定する。PL法は縞模様がある視票とない視票を見せ、縞の方を好んで見るという行動から視力を推定する。なお、OKN法は成人の詐盲の診断に使われることもある。

 視力は6歳まで(遅くとも10歳まで)に成長を終えると考えられており、そこまでに視力が発達するには毎日ものを見ている必要がある。発達過程でものを見ることができないと、弱視になることがある。

 弱視とは子どものころに視力が発達せず、成人になって医学的に病変がないのに視力が出ない状態である。小児期の極端な遠視、近視、乱視、また、左右の視力の差、斜視などが原因となる。視覚が遮断されることでも弱視になるため、先天性白内障角膜混濁眼瞼下垂などのほか、眼帯も原因となり得る。

著者プロフィール

石岡 みさき(みさき眼科クリニック院長)●いしおか みさき氏。1989年横浜市立大医学部卒。93年米ハーバード大スケペンス眼研究所。96年東京歯科大市川総合病院。98年両国眼科クリニック勤務。2008年より現職。

連載の紹介

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