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第6の地雷 眼外傷は痛みがないほど恐い

2007/12/10

 時刻は夜中。ふと目を覚ました眼科医。

 「眼に激痛が…。なぜ?? この時間に痛みが来るといえば…。あっ! そういえば昼間、研究室のクリーンベンチが開けっ放しで紫外線殺菌灯がついていた!!」

 紫外線による角膜上皮炎は、殺菌灯を見るほか、溶接やスキー場、最近では日焼けサロンにて保護用メガネを使用しなかった場合に起こる。紫外線の曝露から8~12時間後に起こるので、大体は夜中に急激な症状が現れる。救急車を呼ぶような激痛なのだが、基本的には自然治癒を待つしかない。というわけで、病態を知っていたこの眼科医はひたすら朝まで耐えるのみであった。

 ある小学校の家庭科の授業で、先生が運針を実演していたところ、針を抜く瞬間に生徒が顔を近づけた。双方、「あっ」と思ったものの、針が眼に当たったのかどうか分からない。生徒は「痛くない」と言うので、先生は一安心。かと思いきや、「でも、見えなくなった」と言うので、大慌てで眼科を受診したところ、角膜穿孔していてそのまま入院となった。

 眼科における外傷は、痛いものが軽症であったり、痛みがなく、また一見軽症に見えるものほど、重症だったりする。眼だけの外傷であれば当然眼科に来るので問題ないが、全身の外傷で状態の詳細が分からない場合は、救命を最優先した上で、眼の外傷が疑わしければ眼科を受診させてほしい。

 眼の異常の有無をチェックする一番簡単な方法は、意識がある患者であれば、片方ずつでそれぞれ見てもらい、いつもの見え方と変わりがないか否かを確認することである。片方の目が失明していても意外に気付かないものなので、「片方ずつ」というのが重要だ

 しかし、何でもなさそうに見えていながら、強膜が結膜下で破裂していて手術が必要だったり、穿孔創でなくても、鈍的外傷で網膜剥離になっていることもある。網膜剥離は黄斑部に剥離がおよばないと視力が良好なことが多いので、鈍的眼外傷の診察には散瞳眼底検査が基本的に必要である。

著者プロフィール

石岡 みさき(みさき眼科クリニック院長)●いしおか みさき氏。1989年横浜市立大医学部卒。93年米ハーバード大スケペンス眼研究所。96年東京歯科大市川総合病院。98年両国眼科クリニック勤務。2008年より現職。

連載の紹介

【臨床講座】たかが“眼”と侮るなかれ
非専門医でも、眼の診療を行う機会は多いもの。しかし、“ついで”に出した点眼薬が重症化や副作用の見逃しを招くなど、トラブルの種はそこここに潜んでいます。眼の診療で最低限注意すべきポイントを紹介します。

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