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新型コロナ予防、終末期でも面会制限?

2020/03/12
廣橋 猛(永寿総合病院)

 新型コロナウイルスCOVID-19)感染症への対応で、最前線の現場に立つ呼吸器内科や感染症科の先生方をはじめ、多くの皆さまが苦慮されていることかと思われます。1日も早く事態が収束に向かうことを願ってやみません。

 さて、我々のように、主に終末期の患者を担当することが多い緩和ケアや在宅医療に関わる医師の場合、あまり新型コロナウイルスには関係ないように見られるかもしれません。ところが関係ないようで、当初は予想もしなかった大きな問題が発生したのです。それは入院患者に対する面会の制限でした。

 現在、多くの病院において新型コロナウイルス感染予防のため、外部の人が施設に入ることをできるだけ控えるよう指示されています。その結果、入院患者への面会制限という形となっているのです。不特定多数の方が入院病棟に入ることは、感染拡大のリスクを抱えることになりますから当然のことと理解できます。しかし、例えば緩和ケア病棟のように余命がわずかしか残されていない患者が入院している場合、家族や友人が面会できないというのはとても悲しいことです。患者からすれば、身体がつらくなってきている状況で、できるだけ家族に来てもらいたい……。家族や友人からすれば、今のうちにいろいろ会って話をしておきたい……。実際、終末期に直面する様々なつらさは、薬による治療だけでなく、家族などとのコミュニケーションにより和らぐことも十分あるわけで、面会制限はそういった機会をなくしてしまうのです。

 もちろん、完全に面会できない施設ばかりではなく、例えば、私が所属する施設では、看取りが近い患者においては、家族のみ短時間の面会を許可しています。しかし、どれくらい看取りが近ければ許されるべきなのかなど、答えの出ない状況に現場も家族も混乱しています。一部の緩和ケア医からは「緩和ケアの理念を考えれば、感染なんか関係なく面会させるべきだ!」といった主張も聞かれましたが、この国難において一致団結して感染拡大を防がなければならない状況に、緩和ケアだから何でも許されるといった考えは暴論にしか聞こえません。

著者プロフィール

廣橋猛(永寿総合病院 がん診療支援・緩和ケアセンター長)●ひろはし たけし氏。2005年東海大学医学部卒。三井記念病院内科などで研修後、09年緩和ケア医を志し、亀田総合病院疼痛・緩和ケア科、三井記念病院緩和ケア科に勤務。14年2月から現職。

連載の紹介

廣橋猛の「二刀流の緩和ケア医」
東京下町で病棟、在宅と2つの場の緩和医療を実践する「二刀流」の緩和ケア医、廣橋氏が癌医療や終末期医療、在宅ケアの現状や問題点を綴りながら、患者さんが病院から在宅まで安心して過ごせる医療とケアについて考える。本人のオフィシャルサイトはこちら

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