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「見捨てられ感」を払拭する二人主治医制

2017/06/21
廣橋 猛(永寿総合病院)

 2017年6月23~24日、横浜市で第22回日本緩和医療学会学術大会が開催されます。毎年7000人を超える参加者が集い盛り上がる大会で、非常に楽しみです。筆者も幾つかのシンポジウムなどを担当しています。そこで今回は、「腫瘍内科緩和ケアが力を合わせて伴走する二人主治医制」と題したシンポジウムでお話しする内容を大会に先駆けて紹介させていただきます。

 「二人主治医制」という言葉を聞いて真っ先に思い浮かべるのが、大病院とかかりつけ医による二人主治医制ではないでしょうか。地域医療支援病院などの大病院は、安定している患者を地域に戻すことが求められており、患者が落ち着いているときはかかりつけ医に診療してもらい、専門的な治療や検査を要するときだけ大病院を受診する。それぞれの医療機関に主治医がおり、お互いに連携し合って診療に当たる。これがいま推奨されている二人主治医制です。大病院の混雑を解消し、医療費を削減するという意味で、今後推し進めていくべき制度となっています。

 この二人主治医制において大切なこと、すなわち連携が成り立つためには、二人の主治医がお互いの役割分担を理解していること、そして必要に応じて連絡を取り合えることが不可欠と思われます。この連携とは何かというお題については、以前の記事「診療情報提供書を渡すだけでは連携とは言えない」をご参照ください。お互いが真の意味で連携し合うことで、この二人主治医制は成り立ちます。

 癌治療の現場では最近、進行癌患者に対して、将来の緩和ケアニーズを見越し、化学療法中の患者が緩和ケア外来へ紹介受診される機会が増えてきています。治療中から他のがん診療連携拠点病院の治療医と並行して、当院の緩和ケア外来にも通院される患者は少なくありません。このような患者は、拠点病院での治療が終了となったら、当院へ切れ目なく引き継がれるための準備をしているという認識でいます。

 このような緩和ケア外来での診療内容は、症状コントロールの相談から、化学療法をどこまで続けるかの相談、身辺整理など終活についての相談まで多彩にわたります。治療が終わりに差し掛かる時期に、腫瘍内科と緩和ケアが並行して関わることで、(1)適切な症状コントロールにより治療が円滑に進む可能性が増える、(2)癌治療継続について相談ができる、(3)癌治療終了後の過ごし方について相談ができる──といった効果があると考えられます。その一方で、立場の異なる両者が連携する難しさもあります。この連携を成り立たせるポイントは、先の大病院とかかりつけ医における連携と同様。すなわち、お互いの役割分担を理解することと、連絡を取り合える関係にあることです。

 この緩和ケアの場が、在宅医療のこともあり得るでしょう。すなわち、病院の癌治療医と在宅医の二人主治医制です。ゆくゆくは在宅での療養を考えている進行癌患者が、まだ治療を続けてはいるものの、そろそろ厳しくなってきている時期から在宅医にも診てもらうというケースが増えています。病院で治療してもらいながら、普段の体調管理は徐々に在宅医へ委ねていきます。そして、やがて治療が完全に終了になる、通院することが困難になるといったタイミングで、在宅医へ完全に引き継がれていきます。これも立派な二人主治医制といえるでしょう。

著者プロフィール

廣橋猛(永寿総合病院 がん診療支援・緩和ケアセンター長)●ひろはし たけし氏。2005年東海大学医学部卒。三井記念病院内科などで研修後、09年緩和ケア医を志し、亀田総合病院疼痛・緩和ケア科、三井記念病院緩和ケア科に勤務。14年2月から現職。

連載の紹介

廣橋猛の「二刀流の緩和ケア医」
東京下町で病棟、在宅と2つの場の緩和医療を実践する「二刀流」の緩和ケア医、廣橋氏が癌医療や終末期医療、在宅ケアの現状や問題点を綴りながら、患者さんが病院から在宅まで安心して過ごせる医療とケアについて考える。本人のオフィシャルサイトはこちら

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