日経メディカルのロゴ画像

緩和ケアは癌だけのものじゃない

2016/03/11
廣橋 猛(永寿総合病院)

 緩和ケアというと、終末期が対象で、特別な医療者が担うものというイメージが依然として根強くあるようです。もちろん正しい認識ではありません。緩和ケアは癌であろうとなかろうと関係ありません。全ての生命を脅かす疾患を抱える患者や家族が対象であり、その苦痛を緩和することで生活の質を改善する試みと定義されます。専門家のみが行うべきものでもなく、全ての医療・介護者が備え持つべき心得のようなものといえば、少しはイメージが付きやすいでしょうか?

 癌でない疾患にも、生命を脅かす疾患は多くあります。例えば心不全や呼吸不全が進行した状態。治癒することはありませんし、いつ死に直面してもおかしくない状況です。神経難病や末期腎不全にも同じことがいえるでしょう。ただ、癌と異なるのは、その進行する経過には疾病ごとの特徴があり、それぞれを理解する必要があるということです。

 癌は最期の1~2カ月に急激に悪化するという点については、以前の記事(川島なお美さんの逝去から学ぶべきこと)で指摘した通りです。心不全や呼吸不全などは、寛解と増悪を繰り返しながら、全体的にみれば徐々に低下していく経過となります。難しいのですが、寛解に導けるか否かを判断することが臨床家に求められます。

緩和ケアと総合診療は考え方が似ている
 そして、総合診療医や家庭医といったキャリアが認められてきた昨今、このように緩和ケアが幅広い領域で必要となっていることは、特に若手の医師を中心に浸透してきています。

著者プロフィール

廣橋猛(永寿総合病院 がん診療支援・緩和ケアセンター長)●ひろはし たけし氏。2005年東海大学医学部卒。三井記念病院内科などで研修後、09年緩和ケア医を志し、亀田総合病院疼痛・緩和ケア科、三井記念病院緩和ケア科に勤務。14年2月から現職。

連載の紹介

廣橋猛の「二刀流の緩和ケア医」
東京下町で病棟、在宅と2つの場の緩和医療を実践する「二刀流」の緩和ケア医、廣橋氏が癌医療や終末期医療、在宅ケアの現状や問題点を綴りながら、患者さんが病院から在宅まで安心して過ごせる医療とケアについて考える。本人のオフィシャルサイトはこちら

この記事を読んでいる人におすすめ