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在宅でも医療用麻薬の持続注射は十分可能!

2015/08/05
廣橋 猛

 医療用麻薬に関する話題が続いたこの連載。今回は医療用麻薬の持続注射について取り上げます。

 医療用麻薬には、内服薬以外にも様々な剤型が存在します。中でも注射薬は患者が内服できなくなったときや、強い苦痛を迅速に緩和する必要があるときなど、困った状況において必須の薬剤です。内服できないときに簡便な貼付薬を用いることもありますが、呼吸困難の緩和を要する場合や、頻繁に投与量を調整またはレスキューに用いる場合は、貼付薬ではなく注射薬でこそ苦痛を緩和できるチャンスが高まると感じています。

 自分が担当している緩和ケア病棟では、亡くなられる患者の9割以上が、最終的に医療用麻薬の持続注射を受けています。質の高い緩和ケアを追求した結果と考えています。

 その一方、病院でも医療用麻薬の持続注射を難しいと考えて避けている医師を散見します。ましてや、在宅では訪問医や訪問看護師が、なかなか持続注射の開始に踏み切れないことが多いようです。処方や管理が煩雑になることを嫌って、持続注射が必要なくらいなら入院させた方がよいと考える在宅の医療者も少なくありません。

 しかし実際のところ、在宅でも医療用麻薬の持続注射は問題なく使用できます。静脈ラインがなくても、持続皮下注という簡便な方法で行えます。持続注射に用いる機械型のポンプをレンタルする業者も増えましたし、ディスポのポンプは医療材料として処方できるようになりました。注射液は訪問調剤薬局が充填してくれます。診療報酬においても、医療用麻薬の持続注射は指導管理料や加算で高い評価がされています。そして、在宅でこそ持続注射のメリットを患者は享受できます。その一例を紹介します。

持続皮下注射で家族と食卓を囲めるように
 70歳代男性で大腸癌肺転移の方でした。肺転移がひどく、呼吸困難で入院。予後は2カ月程度ではないかと想定されていました。私は緩和ケアチームとして関わっていました。内服も安定しないため、モルヒネの持続皮下注射を開始し、安静時の症状は緩和されました。家族とともに自宅で過ごしたいという希望があり、私がそのまま自宅に往診することになりました。その方には『家族とともに食卓を囲みたい』という強い思いがありました。

著者プロフィール

廣橋猛(永寿総合病院 がん診療支援・緩和ケアセンター長)●ひろはし たけし氏。2005年東海大学医学部卒。三井記念病院内科などで研修後、09年緩和ケア医を志し、亀田総合病院疼痛・緩和ケア科、三井記念病院緩和ケア科に勤務。14年2月から現職。

連載の紹介

廣橋猛の「二刀流の緩和ケア医」
東京下町で病棟、在宅と2つの場の緩和医療を実践する「二刀流」の緩和ケア医、廣橋氏が癌医療や終末期医療、在宅ケアの現状や問題点を綴りながら、患者さんが病院から在宅まで安心して過ごせる医療とケアについて考える。本人のオフィシャルサイトはこちら

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