早いものでこの連載も4回目となりました。これまでお示ししてきたように、近年、高齢者心不全に対する緩和ケアは少しずつクローズアップされるようになってきました。一方で心臓移植や補助人工心臓(VAD:Ventricular Assist Device)治療を受ける患者への緩和ケアに関しては、まだまだ議論が進んでいないのが実情です。今回は、心不全緩和ケアの視点から、特にVAD治療について、現時点の課題や今後の展望などを考えてみたいと思います。


VADの普及、そしてDestination Therapyへ
 適切な薬物治療(GDMT:guideline-directed medical therapy)や心臓再同期療法(CRT)などを行っても治療困難な心不全患者にとって、心臓移植やVAD治療は劇的に生命予後を改善する治療手段です。しかし、近年心臓移植件数は急増したとはいえ、我が国は圧倒的なドナー不足に喘いでいます。すでに3〜5年以上ともいわれる長い移植待機期間を乗り切るために、心臓移植までのつなぎ(BTT:Bridge to transplantation)として、「植込型」VADを装着して待機期間を全うすることが現在は一般的になっています。

 一方で我が国の制度上、心臓移植適応がない心不全患者には植込型VADを

心不全緩和ケアから見た補助人工心臓治療 の画像

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