日経メディカルのロゴ画像

連載第82回
遺族から死因究明の要請、院内事故調は必要?

2007/11/27

【今回の相談事例】
 当院で亡くなられた患者さんのご遺族から、院内に事故調査委員会を設置して死亡した原因を徹底的に究明し、再発防止策を示してほしいと要請されました。これに応じる必要はあるのでしょうか。また、設置する場合、どのような点に留意すればよいでしょうか。
(相談者:地域基幹病院院長)

【回答】
 現在、厚生労働省の「診療行為に関連した死因究明等の在り方に関する検討会」(以下、「死因究明等検討会」)において、第三者機関として調査委員会を設置する方向で検討が進んでいます。ただ、第三者機関が設置されるからといって、院内事故調査委員会(以下、「院内事故調」)を設置する必要がなくなるわけではありません。医療機関自らが、専門家の責任として医療行為の適否を検討するという自律性が求められることは、この連載でも既に指摘されているとおりです(連載第73回「医療関連死についての第三者評価」)。

院内事故調査委員会は設置すべきか?
 これまでは、患者さんに重篤な結果が発生し、その結果について医療機関の重大な過失が想定される場合などに、医療機関側の判断で院内事故調が設置されたケースが多いと思います。

 死因究明等検討会の第二次試案では、診療関連死について、患者さんの遺族からの相談も受け付けるとされています。これまで医療機関側では院内事故調を設置する必要はないと判断してきた症例についても、今後は、診療関連死について、患者さんや遺族からの要請に基づいて院内事故調を設置することが必要になることも考えられます。

 もっとも現時点では、「診療関連死」という言葉の定義は一義的に明示されていません。今後の死因究明等検討会において、明確な定義が期待されるところです。
 
 ご質問に対する回答ですが、病院側から見て過失はないと判断している事案であっても、「死亡に至る経過が必ずしも明確でない」と判断される場合には、院内事故調の設置を検討してもよいと思われます。

著者プロフィール

HDLA研究会●HDLA研究会は、医事紛争に関して医療機関側の代理人を務める弁護士で組織。会員は約100人で、各種勉強会を開催するほか、会員相互の情報交換を行っている。

連載の紹介

ケースに学ぶトラブル対策講座
医療事故や医療過誤訴訟のリスクは増大する一方。医療事故や紛争・トラブルの具体例を提示しながら、そこに内包する法律的な問題や対処法について、医療関係者向けに平易かつ簡潔に解説します。

この記事を読んでいる人におすすめ