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連載第81回
紹介先の病院からの回答、どこまで吟味すべき?

2007/11/20

【今回の相談事例】
 消化器内科を専門とする開業医です。当医院の患者さんを検査設備のある総合病院に紹介し、その検査結果とともに担当医師からの診断内容について報告を受けました。
 病院からの回答内容を、開業医としてはどこまで再検討して吟味する必要があるでしょうか。私としては、病院側で慎重に検査して検討した結果ですから尊重するしかないと考えているのですが、それでは不十分でしょうか。
(相談者:内科開業医)

【回答】
 原因疾患を特定し、的確な治療をするために、検査設備が整っていて専門医もいる病院(以下において単に「病院」と言うときは、ここで言う条件の病院を称します)に患者を紹介することはよくあることです。また、自分の医院では十分な検査や診断ができない場合には、十分な設備を有する病院を紹介することは当然必要です。

 慎重な検査を重ねて診断がなされた上での回答や報告を病院から受け取った一般開業医としては、一見して明らかな誤りや不合理・不自然なものでない限り、その内容を信頼することはむしろ当然であるといえます。自ら検査や診察にかかわっていないのに、紹介先の病院の診断を無視した治療を継続して悪しき結果が生じたときは、合理的な理由がなければ、当然のことながら開業医に過失責任が問われることとなります。

 そうであるからと言って、病院からの診断結果の回答や報告を常に無批判に受け入れてもよいということにはなりません。その疾患の専門医でないとしても、医師として求められる注意義務があります。病院からの回答や報告を一読し、医師であるならば当然に気づくはずの「誤りや不合理・不自然なもの」があれば、担当医師に問い合わせたり、ほかの病院に紹介するなどの対応が求められます。これを怠ったために不都合な結果が患者に生じたときも、やはり過失責任が問われる恐れがあります。

「心筋マーカーは記載されていた」と開業医を訴え
 問題は、「誤りや不合理・不自然なもの」がどの程度あれば対応が求められるかです。しかし、症例や事案に応じて事情は異なるので、一律に定義することは難しいのが実際です。1例として、開業医の責任が争われた事例を紹介しましょう。

著者プロフィール

HDLA研究会●HDLA研究会は、医事紛争に関して医療機関側の代理人を務める弁護士で組織。会員は約100人で、各種勉強会を開催するほか、会員相互の情報交換を行っている。

連載の紹介

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