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連載第76回
患者のダイヤのピアスが紛失!

2007/10/09

[今回の相談事例]
 腹部の痛みを訴えて救急車で救急外来に搬入された女性が、退院後に「耳に着けていたダイヤのピアス(購入価格100万円)を紛失した」と訴えてきました。患者は救急外来で診察を受けCTを撮影した後、産婦人科に7日間入院し退院したのですが、身に着けていたピアスが病院で紛失したのに退院後に気が付いたというのです。
 救急外来の看護師に尋ねたところ、確かにピアスは着けていて、CT撮影の前に外してもらい、CT撮影後に病棟へ搬送するときに本人に渡したということですが、残念なことに記録は何も取っていません。どう対応すべきでしょうか。
(相談者:病院勤務医)

[回答]
 今回の相談事例のように、「診察室や検査室でピアスやネックレスを外して紛失した」とか「看護師に渡したのに返してもらってない」といった患者からの苦情はどの病院でも起きています。

 入院案内や外来診察室には、「貴重品は病院に持ち込まないで下さい」「持ち込む場合は自分の責任で管理して頂きます」と掲示されていると思います。従って、患者が一般外来で高価品を持ち込むことは少ないでしょうし、「紛失した」との苦情に対しては、この記載があることを理由に理解を求めることは容易と思います。

 しかし、救急外来へ搬入される患者は病院での受診を想定していないので、高価な装身具を身に着けている場合があります。また、緊急の処置の必要上、装身具を外してもらったり、本人の意識のないときは看護師や医師が自分の判断で外さざるを得ない場面は幾らでもあります。さらに、緊急ですから、とかく診察と治療が先行し、外した装身具などの受け渡しや保管まで注意が回らないこともあるでしょう。

商法の免責は適用されず
 取り外した高価な装身具について病院はどのような注意義務を負うのでしょうか。

 患者が搬入された時点で患者と病院の間には診療契約が成立しますが、その契約に付随して病院は「善良な管理者」として保管義務を負うものと考えられます。

 では、相談事例のような高価品まで責任を負うのでしょうか。

著者プロフィール

HDLA研究会●HDLA研究会は、医事紛争に関して医療機関側の代理人を務める弁護士で組織。会員は約100人で、各種勉強会を開催するほか、会員相互の情報交換を行っている。

連載の紹介

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