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連載第75回
医薬品副作用に対する公的給付

2007/10/02

【今回の相談事例】
 先日、喘息患者で救急搬送された患者に対して薬剤を投与したところ、突然ショック状態となり、救命措置を施しましたが、亡くなられてしまいました。
 おそらくは薬剤の副作用によってショックになったものと思われますが、このような場合に公的な救済給付の制度があると聞きました。この制度を利用する際の注意点について教えてください。
(相談者:内科診療所院長)

【回答】
 医薬品の副作用によって、患者が死亡したり後遺症が残存した場合には、医薬品副作用被害救済制度による給付を申請することができます。

 同救済制度は、医薬品を適正に使用したにもかかわらず発生した副作用による健康被害者に対し、各種の副作用救済給付を行い、被害者の迅速な救済を図ることを目的とするものです。独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に基づく公的制度として設けられています。

「適正な使用」における副作用が給付の対象
 救済の対象となるのは、1980年5月1日以降に、医薬品を適正に使用したにもかかわらず発生した副作用による疾病(入院を必要とする程度のものに限る)、障害(日常生活が著しく制限された状態のもの)及び死亡です。

 もっとも、救命のためにやむを得ず通常の使用量を超えて医薬品を使用したことによる健康被害で、その発生が認識されていた場合や、癌その他の特殊疾病に使用される医薬品で厚生労働大臣の指定するもの(対象除外医薬品)などについては救済給付の対象外とされています。

 給付の請求をするには、医師の診断書、投薬証明書を医薬品医療機器総合機構(以下、総合機構)に提出することが必要となります。

 総合機構は、給付の請求があった健康被害について、医薬品の副作用によるものかどうか、医薬品が適正に使用されたかどうかなどの医学的薬学的判断について厚生労働大臣に判定の申し出を行います。厚生労働大臣は機構からの判定の申し出に応じ、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会(副作用被害判定部会)に意見を求めて判定を行うこととされています。

 ここで言う「医薬品の適正な使用」とは、原則的には「医薬品添付文書に記載されている用法・用量及び使用上の注意に従って使用されること」です。ただし実際には、個別の事例については、現在の医学・薬学の学問水準に基づいて総合的な見地から判断されます。

 給付が決定された場合に行われる給付の種類としては、医療費、医療手当、障害年金、障害児養育年金、遺族年金、遺族一時金及び葬祭料があります。患者が死亡した場合には、その患者と生計を同じくしていた遺族のうち最優先順位の人が支給を請求することができます。

著者プロフィール

HDLA研究会●HDLA研究会は、医事紛争に関して医療機関側の代理人を務める弁護士で組織。会員は約100人で、各種勉強会を開催するほか、会員相互の情報交換を行っている。

連載の紹介

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