
こんにちは、原田文子です。今、地元の群馬県安中市にて開業準備中です。2017年春オープン目標なのですが、予定は未定であります。
ところで、開業準備を進めていると「開業コンサルタント」なる人物がたくさん集まってくるとう魔訶不思議があります。一体どこでどんな情報が入っているのか分かりませんが、職場の医局前に「原田先生、このたびはご開業おめでとうございます。私は、開業コンサルタントの〇〇と申します」と名刺を渡され、(時には手土産付きで)連日列をなしてぞろぞろ集まってきます。
その様子といったら、まるで蜜に群がる蟻の大群のようなのです。開口一番「開業おめでとうございます」という言葉はとても違和感があり、それだけで腰が引けてしまいます。だいたい、資金融資だってまだ受けていないのに「おめでとう」ってどうなのよ。それに開業するってことはおめでとうなのか?という疑問も湧いてきます。
そして彼らは「私は先生のご開業のために、何でもお手伝いさせて頂きます。費用は一切掛かりません。何でもご協力しますので何なりとお申し付け下さい」と続けます。要はただで開業のコンサルタントをしてくれる、ってことなのです。本当ですか?わっ、無料なんですか?超ラッキー!!と初めは思っていました。今思えばなんて能天気な私。
だいたい、見ず知らずの私に「ただ」でいろいろ動いてくれるなんてこと有り得るのでしょうか?どういったカラクリなのでしょうか?自らに置き換えてみれば分かる話かと思います。私自身が報酬も貰わずに誰かのために一生懸命に何かをするという場面を考えてみたいと思います。
(1)よっぽどのお人好し
(2)家族や親友など報酬などいらないほどその人のことを大切に思っているので、ただであろうがなんだろうか一向に構わない
(3)実は自分にも利益がある
などが理由に挙げられると思います。
開業コンサルタントが無料で動いてくれる理由は……。ずばり、(3)なのです。ただ、それが悪いことだとは思いません。だって相手だって商売、ビジネスなのです。ですからお互いが「win-win」な関係になれるように、ということを念頭に入れ、コンサルタントと賢く付き合っていけばよいと思うのです。実際、有難いと思うこともしばしばありますから。
ところで開業コンサルタントって一体何者なんでしょう?何か資格のようなものはあるんでしょうか?
実態としては、特に資格はなく、「開業コンサルタント」と名乗ろうと思えば名乗れてしまう職業です。未経験だけど言ったもん勝ちの知ったかぶりという強者も中にはいます。彼らの多くは、調剤薬局、薬品の卸会社、医療機器メーカー、不動産屋、銀行などの「開業コンサルタント部」に所属しています。
例えば、薬品の卸会社に所属している場合であれば、「開業したらうちの卸を使ってくださいね」という暗黙の了解が生まれます。不動産屋であれば、「不動産や建築に関してはうちにお任せあれ。ここが今、人気な場所ですよ」と開業地を紹介してくれたりもするのです。
私は基本的に、名刺を渡してくださったコンサルタントの方々とは全員とお話しするようにしています。ご縁だと思っていますし、人生経験はたくさん積んだ方がよいというのが持論です。有能で人格も素晴らしい開業コンサルタントに出会うこともあります。
私はコンサルタントとは必ず主人と一緒に会うようにしています。コンサルタントの方々はほぼ男性なので、威圧され雰囲気にのまれてしまう恐れもありますし、私は医療の世界しか知らない世間知らずな女だということを自覚しているからです。
私たち医師は、医学部時代に医療経営の勉強はしていませんし、勤務医でいる限り実際の臨床現場においても診療だけしていればよいのです。「この処置は何点」「この検査は何点」などとそろばんをはじける医師はごくわずかなのではないでしょうか。
ただ、開業するとなれば医療のことだけでなく経営をはじめとして、様々な知識がないといけません。ニコニコした「無料開業コンサルタント」に丸投げしたら、とんでもないことが待ち受けていると思います。こちらも勉強して賢くならなければなりません。開業や医療経営に関する専門書を少なくとも2、3冊は読んでおいた方がよいと思います。
ただし、そんな専門書にはあまり載っていない、コンサルタントのこんな言葉には気をつけよう!というのを私の経験から以下に書いてみたいと思います。