70歳女性。朝起きたら、回転性めまい、嘔吐があり、救急搬送されてきた。その報告を受けた研修医はまずこう思った。
研修医 「寝起きのめまいで回転性。また、いつも見る末梢性めまいだろう…」
研修医がとった問診は以下の通り。朝起きてしばらくしたら、回転性めまい、嘔吐あり。その他、耳鳴りなどの蝸牛症状はなし。構音障害なし。既往歴は糖尿病、高血圧。早朝であるため、服用薬の確認はできなかった。
初診におけるバイタルサインのチェックは、どんな症状にも共通する大原則だ。患者に接触する際に、以下の点を確認すれば、看護師がバイタルサインを測定する前に緊急度を大体把握できる。
A(Airway):話しかけてみて、患者が話せればOK。この場合、D(Dysfunction of Central nervous system)も大体OK。
B(Breathing):胸、首の根元を見ながら、呼吸は速くないか?
C(Circulation):手を握って、冷たく湿ってないか?手の動脈は触れるか?速いか、遅いか?不整は?
めまいでも、心血管系疾患が原因となることがある。バイタルサイン、特に冷汗の有無などを初めに意識して確認することで、命にかかわる疾患にいち早く気づくヒントになる。バイタルが安定していて心血管系疾患の徴候がなければ、問診、診察と進めていく。
性質、持続時間などを問診
めまいの問診で重要なのは発症状況、めまいの性質、持続時間、誘発因子、随伴症状である。それぞれのポイントを以下に示す。
【発症状況】
何をしているときに発症したのか?(寝返りしたとき、歩いているときなど)
【めまいの性質】
(1)ぐるぐるする:回転性めまい
(2)立ちくらみのような、目の前が暗くなるような:前失神
(3)ふわふわする感じ、ふらついて歩けない:平衡障害
(4)その他、よく分からない:分類不能
(1)(2)(3)については、訴えが複合することもあり、必ずしもはっきりと分けられるわけではない。
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著者プロフィール
八戸市立市民病院救命救急センター●青森県八戸市の3次救急施設として、重症熱傷の集中治療室、心疾患集中治療室などを備える。病床は30床。本連載は、今明秀所長の監修の下、センターのスタッフが執筆。

連載の紹介
症例で学ぶ救急診療の鉄則――北の現場から
救急患者が訴える多様な症状への対応法、危険な兆候を見逃さないための鉄則、ピットフォールを、八戸市立市民病院救命救急センターのスタッフが、臨場感あふれる症例画像とともに解説します。
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