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【第2回】
ショック診療はスピード勝負!

2008/06/16
昆 祐理=八戸市立市民病院救命救急センター

 ERの当直中、「ショックの患者が5分で来ます」と看護師から連絡を受けたら、自分がショックになってしまうドクターがいます。皆さんはショックの患者さんにどうアプローチしますか?ショックは重篤な病態で、少しの治療の遅れが予後を大きく左右します。医者の方がショックになっている場合じゃないですよネ!

 八戸の寒さはまだ厳しい、3月×日のこと。施設に入所している80歳代の女性が、救急搬送されました。主訴は急な呼吸不全チアノーゼ。救急車から下りてきた患者さんは顔面蒼白で、呼吸は速く、意識状態も悪いようでした。

 血圧を測定すると95/70mmHg、脈拍は120回/分で、Shock Index※は1を超えていました。

 ショックの患者さんの診療は、すばやく診察を進めながら適切な処置を迅速に行わなければなりません。

 まず真っ先にすべきは手足を触れること。特に橈骨動脈を触診して、冷たいショック温かいショックか、2つのショックに鑑別します。

 触診のポイントは次の3点です。
・拍動の強さ
・拍動の速さ
・手は冷たく湿っているか、温かいか?


 冷たいショックは、拍動が弱く速く、手が冷たく湿っています。温かいショックは、拍動は弱く、正常~やや速め、手は温かいです。

 ショックとは組織に十分な酸素が行き届かない状態。なので、いずれのショックであっても、輸液と酸素投与は必須なので、診察と同時に開始します。

Point ショック患者が来たら、手を触る! すべてのショックに輸液と酸素を!

 患者さんの皮膚と橈骨動脈を見ると、手足は冷たく湿っており、橈骨動脈は微弱。冷たいショックでした。

 冷たいショックの代表的なものは3つ。循環血液量減少性ショックHypovolemic Shock)のうち特に出血性ショックと、閉塞性ショック心原性ショックです。

 この3つを見分けるには頸静脈を見ます。

 頸静脈が怒張していなければ、出血性ショック(Hypovolemic Shock)です。出血性ショックに対する治療は輸液をまず行い、必要であれば輸血を行います。並行して出血している場所を探し、適切な止血を行います。

 逆に頸静脈が怒張していれば、閉塞性ショック、心原性ショックを考えます。

Point 冷たいショックは頸静脈をチェック!

※ Shock Index
脈拍/収縮期血圧で表される、ショックの重症度の指標。正常値は0.5~0.7。

著者プロフィール

八戸市立市民病院救命救急センター●青森県八戸市の3次救急施設として、重症熱傷の集中治療室、心疾患集中治療室などを備える。病床は30床。本連載は、今明秀所長の監修の下、センターのスタッフが執筆。

連載の紹介

症例で学ぶ救急診療の鉄則――北の現場から
救急患者が訴える多様な症状への対応法、危険な兆候を見逃さないための鉄則、ピットフォールを、八戸市立市民病院救命救急センターのスタッフが、臨場感あふれる症例画像とともに解説します。

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