日経メディカルのロゴ画像

第8回
上腕に埋め込まれた「避妊の棒」を抜き取るには

2017/07/17
小林米幸(小林国際クリニック院長)

 「せんせーい、また腕の避妊のアレ、取ってほしいって電話です。今回はネパール人だって。火曜日の午後がいいって言ってるから、予定のないところに入れてもいいですかぁ~?」と看護師の声。

 これだけじゃ、皆さんには何の話だか、分からないだろう。

 上腕の下方、皮下脂肪の多いあたりに埋め込まれたゴム状の白い棒のこと。白い棒は中空になっていて、中に避妊の徐放剤が入っている。埋め込まれてからたぶん、体温で溶けてゴム状の管から流れ出て、体内に吸収されて避妊の役割を果たすのだろう。白い棒を埋め込んだ女性たちは、そろそろ妊娠したいという気持ちになると、挿入してもらった「棒」を摘出しに医療機関に行くことになる。

 この白い棒を埋め込む避妊法は、欧米や南米では一般的に行われるらしいのだが、日本では許可になっていないのか、日本国内で受けたという人のケースにはお目にかかったことはない。

 初めて摘出を頼まれたのは20年以上前。上腕の皮膚の上から棒が埋まっているのを触診で確認し、どのように取り出そうかとしばらく観察していたのを覚えている。

著者プロフィール

1974年慶應義塾大学医学部卒。神奈川県大和市立病院外科医長、内視鏡室長、1985年からはインドシナ難民大和定住促進センター嘱託医を兼任。1990年に小林国際クリニックを開設。翌年、在日外国人への医療情報の提供や、日本の医療機関への外国人医療に関する情報提供、診療時の電話通訳を行うAMDA国際医療情報センターを立ち上げ、所長に就任。

連載の紹介

小林米幸の外国人医療奮闘記
日本の常識が通用しない医療——。それが外国人診療です。常識の違いに日々悩みつつも、「困ったときはお互いさま」をモットーに1985年から外国人を診療し続けてきた小林米幸氏が、実際に体感した国による文化や医療の捉え方の違いを紹介します。

この記事を読んでいる人におすすめ