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都市部で家庭医として生きるには

2012/02/02

 前回は、家庭医療を実践する場としての「へき地」の醍醐味と難しさについてお話しました。さて今回は、都市部での家庭医療について考えてみたいと思います。

受診先が数多くあるがゆえの不便
 私の外来に3年あまり通っているTさん(71歳女性)から、先日こんなことを言われました。

 「先生、私ね、昔はたくさん病院に行っていたの。腰が痛いから整形外科に週に3回ぐらい通って電気かけてもらったり注射打ってもらったりするでしょ。そして血圧が高いから循環器科にかかって血圧の薬、白内障があるから眼科にも毎月通って目薬と飲み薬もらっていたわ。

 それに時々めまいがするから、脳卒中とか癌が気になって、3カ月おきに脳神経外科にも行ってた。行くと毎回脳のMRIを撮って、「異常はない」と言われるとホッとするんだけど、お金もかかるしたくさん薬はくれるしで、だんだん困っていたの。

 先生にかかるまで、私の薬が20種類近くあるなんて全然意識してなかった。今は小嶋先生に診てもらってほかの先生のところに頻繁に通わなくなって、薬も減らしてもらって、すごくホッとしている自分に気付いたの。ありがとうね、先生」


 Tさんには腰椎ヘルニアがあり、今でも調子が悪いときは時々整形外科に通っていますし、年に1回は眼科で白内障の検診を受けています。しかし、それ以外の医療機関は専門医の先生方と相談し、診療情報提供をしていただいた上で、一旦通院を中断しています。

著者プロフィール

小嶋 一(手稲家庭医療クリニック院長)●こじま はじめ氏。2000年九大卒。沖縄県立中部病院などを経て03年渡米。ピッツバーグ大学関連病院勤務。米国家庭医療専門医、公衆衛生学修士。08年手稲渓仁会病院。09年より現職。

連載の紹介

【臨床講座】家庭医の作法
どんな時でもまずかかってもらえる医者、それが「家庭医」。住民には心強い存在であり、医師不足対策への処方せんにもなり得ます。本連載では、実例などを盛り込みながら、家庭医の果たすべき役割を考えていきます。

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