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患者に「土下座して謝れ!」と言われたら

2015/07/23
援川聡(エンゴシステム代表取締役)

 医療機関で働いていると、小さなミスや勘違いによって患者さんや家族の怒りに触れることが少なくありません。時にその怒りが暴力的なものとなり、業務に支障が出るケースもあります。ここ数年、コンビニエンスストアの店員などに土下座させた写真をインターネットに投稿して逮捕者が出るといった事件が何度も発生しています。

 こうした無茶な要求があった場合、医療現場はどのように対応すればいいのでしょうか。今回は警察への通報を含めた医療機関の対応について考えていきます。

 「病院で患者やその家族から『辞めてしまえ!』『土下座して謝れ!』などと凄まれたら、『強要罪』や『業務妨害罪』に当たってすぐに警察が逮捕できるのでは?」――。医療機関などで講演すると、元刑事ということもあり、こうした質問を受けることがあります。答えは「No」です。

 何らかの原因で興奮している患者が怒鳴り声を上げただけでは、まだ犯罪の領域ではなく、すぐには警察の介入は望めません。警察的な言葉で説明すると、「犯罪の構成要件」が足りないのです。それでは、現場はどうしたらいいのでしょうか。

 一つは、あらかじめ医療機関で「これ以上はできない」というボーダーラインを決め、「土下座はできません」「そのような求めには応じられません」と明確に断ることです(モンスターの攻撃を“上手に”かわす方法) 。

 断ってもしつこく要求が続くようであれば、医療機関の「施設管理権限」に基づいて注意と警告を行う必要があります。具体的には、「依頼」「注意」「警告」「通報予告」「通報」の手順で対応することになります。

著者プロフィール

援川聡(エンゴシステム代表取締役)えんかわ さとる氏●1979年大阪府警察に入職。1995年大手流通企業に転職し、渉外担当としてトラブルや悪質クレームの対応に当たる。2002年に(株)エンゴシステムを設立し、企業や医療機関などの危機管理をサポート。著書に『クレーム対応の教科書』(ダイヤモンド社)など。

連載の紹介

援川聡の「クレーム対応の勘所」
テレビやインターネットで得た知識を基に医師の診療方針に意見したり、待ち時間の長さや医療従事者の態度などに気に入らないことがあると文句を言って理不尽な要求をする「困った患者」。そんなクレーマー患者やその予備軍への適切な対応の勘所を、クレーム対応コンサルタントである援川氏が伝授します。

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