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クレーマー対応で押さえておきたい5原則

2015/07/09
援川聡(エンゴシステム代表取締役)

 第3回までで、クレーム対応ではできることとできないことを明確にし、犯罪性のクレームやトラブルには組織として対応することが重要なことを紹介してきました。それでは、きちんと組織として対応するには、どうすればいいでしょうか。

 医療機関の場合、例えばトラブルに対する院内の通報・連絡網を整備しておくことが非常に重要です。外来患者として不特定多数の人が来院するため、トラブルが持ち込まれるリスクが高く、しかも職員は忙しく働いているために、クレーマーやトラブルメーカーに対して無防備になりがちだからです。忙しさを理由に、初期対応がおろそかになる可能性もあります。

 もちろん、ガードマンを配置したり、監視カメラや非常ボタンを設置するなどして、警備を強化することも大切です。ただ、何よりも職員のチームワークをおろそかにしてはなりません。

 さらに、しつこいクレーム、犯罪性のあるクレームやトラブルに対しては、組織対応を前提として、以下で紹介する「クレーム・トラブル対応の5つの原則」を押さえておくといいでしょう。

(1)経緯をしっかり記録・録音する
 クレームの内容を記録しておくことは、それが正当な主張や要求である場合も含めて重要です。クレームが発生した(持ち込まれた)ときの様子からクレーマーとのやり取り、その処理方法まで、できるだけ綿密に記録しておきます。そうすれば、「言った、言わない」の水掛け論にならずに済み、院内でクレーム情報を共有することもできます。

 相手の発言を録音することについて、裁判で証拠として採用されないかもしれないとの見方もありますが、犯罪と認定されたときは証拠としての価値があります。個人情報保護法では、個人情報の取り扱い上の制限が適用されない場合として「人の生命、身体または財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき」とあります。つまり、身体や財産に危害を加えそうな相手で、本人が氏名などを明かさない場合、相手に断らずに会話を録音しても問題ないのです。

著者プロフィール

援川聡(エンゴシステム代表取締役)えんかわ さとる氏●1979年大阪府警察に入職。1995年大手流通企業に転職し、渉外担当としてトラブルや悪質クレームの対応に当たる。2002年に(株)エンゴシステムを設立し、企業や医療機関などの危機管理をサポート。著書に『クレーム対応の教科書』(ダイヤモンド社)など。

連載の紹介

援川聡の「クレーム対応の勘所」
テレビやインターネットで得た知識を基に医師の診療方針に意見したり、待ち時間の長さや医療従事者の態度などに気に入らないことがあると文句を言って理不尽な要求をする「困った患者」。そんなクレーマー患者やその予備軍への適切な対応の勘所を、クレーム対応コンサルタントである援川氏が伝授します。

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