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【連載第8回】
高齢者のうつ病、どう診る?

2007/08/13

表1 高齢者うつの特徴

 高齢者も若い世代と同様に、様々な検査により異常が見付からない場合、うつ病が隠れている症例が存在する。

 高齢者の多くは、仕事の第一線から引退し、子育ても終わり、一見ストレスのない生活を送っているかのように見えるが、実際は社会から隔絶された状況になりやすく、また経済的、肉体的に他者に依存していることが多い。

 さらに配偶者や友人の死に直面したり、自分自身も病気を発症することが多くなり、若い世代以上にうつ病になりやすいといえる。

 実際、うつ病は一般内科医が遭遇する高齢者疾患の中でも、数多く見られる疾患の一つとされている(Alexopoulos GS, 1996)。つまり高齢者ほどうつになる確率は高く、家族から離れて特別養護老人ホームなどに入居している高齢者は、さらにうつ状態を発症しやすいともいわれている。

 高齢者のうつ症状は、仮性痴呆、心気症状、妄想、食欲低下、体重減少などを伴うことが多いのが特徴だ。さらに高齢者は複数の疾患を併発していたり、老化により機能低下が引き起こされている。これらが複雑に絡み合い、その診断を困難なものとしている。また、脳血管障害、悪性腫瘍など実際の疾患の経過観察中に合併症として現れたり、あるいは薬剤の副作用として発症することがあるため、注意を要する。

著者プロフィール

海老原良典(松翁会診療所)●えびはら よしのり氏。1985年慶応大医学部卒、89年同大老人内科入局。93年カナダ・ウエスタンオンタリオ大留学、96年慶大医老年内科助手。06年松翁会診療所(東京都千代田区)勤務。

連載の紹介

【臨床講座】うつ病―内科医の私の経験
心身症や仮面うつ病の患者も、最初は身体症状を訴えて精神科以外の診療科を受診するのが一般的。筆者が経験した症例を基に、プライマリケアを担う内科医が経験しがちなうつ状態に関する診療ポイントを紹介します。

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