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【連載第2回】
SSRIを使いこなすコツ

2007/07/02

 内科医がうつ病をケアする際、三環系、四環系抗うつ薬に比べて、選択的セロトニン再吸収阻害薬SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬SNRI)は副作用が少なく、使いやすいとされている。

 しかし、SSRIの保険適応病名が「うつ」とあるため、この薬剤の使用を敬遠される先生も多いのではないだろうか。私の経験から、SSRIを使用する際のコツを述べてみたい。

 SSRIの使用を敬遠している先生方も、抗不安薬であるベンゾジアゼピン系の薬剤は、少なからず処方したことがあるだろう。

 しかし、抗不安薬は、不安症状が強い患者には確かに効果が見られるが、劇的な効果は期待できない。そして抗不安薬は、特に高齢者に対しては認知機能障害、ふらつき、眠気、めまいによる転倒の可能性があり、注意が必要だ。

 また、抗コリン作用があるため、便秘、口渇(唾液量低下)などの症状が出現したり、増強したりすることは珍しくない。さらに常用量依存により、漫然とした投与は効果が薄れたり、増量が必要になって副作用が発現する可能性を高めることになる。

 また三環系抗うつ薬は、副作用としての抗コリン作用やα1受容体遮断作用に伴う起立性低血圧などがあるため、精神科領域以外では、さらに手を出しにくい薬剤という印象はぬぐえない。

 SSRIが登場する以前は、私は、不安症だけに限らず、器質的疾患のない不定愁訴の患者に対して、ベンゾジアゼピン系薬剤を処方していた。ベンゾジアゼピン系薬剤は効果発現が早く、不安症、焦燥には効果的であるものの、その他のうつ症状、自律神経系症状に対する作用が弱いこと、また副作用が頻発することから、うつや自律神経系の症状を持つ患者の対処に苦労していた。そのようなとき、SSRIが新たに登場し、使いやすさを実感した。

最も大切なのは患者とのコミュニケーション

著者プロフィール

海老原良典(松翁会診療所)●えびはら よしのり氏。1985年慶応大医学部卒、89年同大老人内科入局。93年カナダ・ウエスタンオンタリオ大留学、96年慶大医老年内科助手。06年松翁会診療所(東京都千代田区)勤務。

連載の紹介

【臨床講座】うつ病―内科医の私の経験
心身症や仮面うつ病の患者も、最初は身体症状を訴えて精神科以外の診療科を受診するのが一般的。筆者が経験した症例を基に、プライマリケアを担う内科医が経験しがちなうつ状態に関する診療ポイントを紹介します。

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