日経メディカルのロゴ画像

【連載第1回】
軽症うつ病のケアは内科医でも可能

2007/06/25

 心療内科や精神科の場合、受診者自身が、自分の愁訴が肉体的なものではなく精神的なものだと理解して来院することが多いため、つまり病識があるため、受診者と医療側のニーズは一致している。しかし内科をはじめその他の科には、ほとんどの患者が身体的な疾患の診断・治療を期待して受診する。

 心身症仮面うつ病と診断されるであろう患者も、最初は身体症状を訴えて、精神科以外の診療科を受診する機会の方がむしろ多いのではないだろうか。身体症状が精神症状と同等以上に表面に出ているうつ病の患者は、うつ病全体の50%を占めるという報告もある。

 普通、身体症状を訴えて受診した場合、疾患の鑑別診断のためのアプローチがなされ、異常があれば治療、なければ「異常ありません」と伝えて、診療は終了になる。つまり、受診者は「どこも悪いところはありませんね...」と言われて、帰路に就くことが多い。ここで受診者の愁訴が消失すれば問題ないのだが、消失しない場合も多々見られる。そしてそのような受診者において、うつ病が潜んでいることは決して珍しくない。

 私は心療内科医ではなく、ましてや精神科医でもない一般内科医だ。しかし、うつ病も他の疾患と同様に、症例によっては精神科など専門医への紹介のタイミングを見逃さないことが重要なことであり、その点さえしっかり押さえれば、軽症うつ病のケアは内科医でも可能だと思っている。

 この連載では、プライマリケア的に患者と接する機会の多い内科医が経験するようなうつ状態について、私が経験した症例を基に述べてみたい。

著者プロフィール

海老原良典(松翁会診療所)●えびはら よしのり氏。1985年慶応大医学部卒、89年同大老人内科入局。93年カナダ・ウエスタンオンタリオ大留学、96年慶大医老年内科助手。06年松翁会診療所(東京都千代田区)勤務。

連載の紹介

【臨床講座】うつ病―内科医の私の経験
心身症や仮面うつ病の患者も、最初は身体症状を訴えて精神科以外の診療科を受診するのが一般的。筆者が経験した症例を基に、プライマリケアを担う内科医が経験しがちなうつ状態に関する診療ポイントを紹介します。

この記事を読んでいる人におすすめ