
私が初期臨床研修医生活の終わりごろに経験した症例を、一部フィクションを交えて報告します。私の研修していた病院は救急車を断らないことで有名であり、時に救急外来が野戦病院のようになることも日常茶飯事。その日の夜も救急外来は人でごった返し、外では救急車が数台列を作って待っている状況でした。
さてこの頃の私といえば、救急科や内科は一通り周り終わり、自分の診療に自信満々でした(ただ今思うと自信どころか過信していたかもしれません)。その日は当直で、忙しい救急外来の状況にもかかわらず「何でも来い」と思っていたのは事実です。そんな私を見て、救急科の上級医の先生2人も「頼んだぞ」とばかりに、私に3人の患者を一任して下さいました。
3人のうち2人は誤嚥性肺炎と、尿路感染症の診断を早々につけました。当直していた初期臨床研修医1年目の後輩と一緒に、2人の患者の対応と並行しつつ、残りの1人の患者のファーストタッチに入りました。
救急隊や看護師からの情報とご本人からの病歴聴取をまとめると以下の通りでした。