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どこかで起きていてもおかしくないエラー症例(Case No.26)
「E」にご用心!

2022/07/05
浮島 翔、宮上 泰樹(順天堂大学医学部 総合診療科学講座)

 私が初期臨床研修医生活の終わりごろに経験した症例を、一部フィクションを交えて報告します。私の研修していた病院は救急車を断らないことで有名であり、時に救急外来が野戦病院のようになることも日常茶飯事。その日の夜も救急外来は人でごった返し、外では救急車が数台列を作って待っている状況でした。

 さてこの頃の私といえば、救急科や内科は一通り周り終わり、自分の診療に自信満々でした(ただ今思うと自信どころか過信していたかもしれません)。その日は当直で、忙しい救急外来の状況にもかかわらず「何でも来い」と思っていたのは事実です。そんな私を見て、救急科の上級医の先生2人も「頼んだぞ」とばかりに、私に3人の患者を一任して下さいました。

 3人のうち2人は誤嚥性肺炎と、尿路感染症の診断を早々につけました。当直していた初期臨床研修医1年目の後輩と一緒に、2人の患者の対応と並行しつつ、残りの1人の患者のファーストタッチに入りました。

 救急隊や看護師からの情報とご本人からの病歴聴取をまとめると以下の通りでした。

著者プロフィール

日本病院総合診療医学会の若手部会診断エラーチーム(担当理事:獨協医科大学総合診療科の志水太郎氏)のメンバー。

連載の紹介

診断エラー学のすすめ
診断エラー学は、海外では研修医や医学生に対する教育分野で非常に注目されている新しい学問です。日本でも、総合診療に従事する医師らが日本での診断エラー学の普及に乗り出しました。そのプロセスと成果を報告していただきます。
書籍『診断エラー学のすすめ』 診断力アップの情報満載です

 診断エラーと言えば、真正面から向き合うことを避けたくなるテーマです。しかし、なぜ診断エラーに遭遇してしまったか、どうすればエラーを避けることができたのか……を考え続けることなくして、臨床医の診断が完結することはありません。本書は、真の診断力を身につけるために必要不可欠な「診断エラー学の極意」を、臨床医が実践例を通して書き下ろしました。(発行:日経BP、5500円[税込])

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