診断は臨床医が日常的に行っている行為であり、臨床医の能力の柱の1つをなしている。その診断の力は訓練次第で後天的に習得されるために、キャリアの全般を通して鍛えられるべき技術である。しかし、これまでその具体的な鍛え方や、そもそもの原則論は医学教育の歴史の中で体系だって言及されず、卒後教育並びに生涯教育においてその実現には至っていない。それは、医学教育の先進国とされる米国においても同様である1)2)。
現在出版されている診断学書に症候や疾患の各論的な切り口のものが多く、総論的な考え方を扱ったものがほとんどないことも、体系だった診断学教育が行われてこなかったことを裏付けている。
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著者プロフィール
日本病院総合診療医学会の若手部会診断エラーチーム(担当理事:獨協医科大学総合診療科の志水太郎氏)のメンバー。

連載の紹介
診断エラー学のすすめ
診断エラー学は、海外では研修医や医学生に対する教育分野で非常に注目されている新しい学問です。日本でも、総合診療に従事する医師らが日本での診断エラー学の普及に乗り出しました。そのプロセスと成果を報告していただきます。
書籍『診断エラー学のすすめ』 診断力アップの情報満載です
診断エラーと言えば、真正面から向き合うことを避けたくなるテーマです。しかし、なぜ診断エラーに遭遇してしまったか、どうすればエラーを避けることができたのか……を考え続けることなくして、臨床医の診断が完結することはありません。本書は、真の診断力を身につけるために必要不可欠な「診断エラー学の極意」を、臨床医が実践例を通して書き下ろしました。(発行:日経BP、5500円[税込])
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