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診断エラーに立ち向かうために必要なこと
診断エラー・カンファレンスの秘訣
とがめるのではなく、前向きに考えるための場づくりを

2019/05/24
和足 孝之(島根大学附属病院 卒後臨床研修センター)

和足 孝之(わたり たかし)氏:2009年岡山大学医学部卒業(学士編入)、2009~14年湘南鎌倉総合病院総合内科、2013年湘南鎌倉総合病院総合内科チーフレジデント、2014年東京城東病院総合内科副チーフ、2015年マヒドン大学臨床熱帯医学大学院、2017年ハーバード大学医学部ICRT修了、2016年より島根大学卒後臨床研修センター(現職)。雑誌『J-COSMO』の編集責任者の一人でもある。

 医学生への講義でよく話すことですが、昔はコンピューターのように頭の回転が早く、記憶力の優れた人材がちやほやされていました。しかし、最近の臨床の現場を見ていると、やや異なってきている印象を受けます。これからの令和の時代は、1997年の本で有名になったAQ(逆境指数/Adversity Quotient)またはRQ(心の弾力指数/Resilience Quotient)による評価が必要になってくるのではないかと思うのです1)。ちなみに、このAQを具体的に言うと、多くの逆境に遭遇したとしても、ストレスを溜めることなく平常心を保って対応でき、たとえ落ち込んでしまった場合でも立ち直りが早く、その経験を糧として成長できる力を表す指標と考えれば良いかもしれません。

 そして、このAQこそが、まさに診断エラー学の真髄なのではないでしょうか。

 「カッコ良く診断できた」という光の当たる「オモテ側」の診断学以外に、なぜ診断できなかったか? どうして診断エラーを起こしてしまったか? というような「ウラ側」を学ぶことで、我々医師の臨床能力は極限まで伸ばせるのではないかと思います。診断という車を走らせ、それを継続して遠いところにまで運転するには、僕は図1のような4つの車輪が必要であると思っています2)。タイヤが1つでもパンクすると、診断という車は、たちまち変な方向に向かってしまう。そんなふうに考えてきました。

図1 診断という車を走らせ続けるために必要な4つの車輪

著者プロフィール

日本病院総合診療医学会の若手部会診断エラーチーム(担当理事:獨協医科大学総合診療科の志水太郎氏)のメンバー。

連載の紹介

診断エラー学のすすめ
診断エラー学は、海外では研修医や医学生に対する教育分野で非常に注目されている新しい学問です。日本でも、総合診療に従事する医師らが日本での診断エラー学の普及に乗り出しました。そのプロセスと成果を報告していただきます。

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