
鋪野 紀好(しきの きよし)氏:千葉大学医学部附属病院 総合診療科 特任助教、千葉大学医学部附属病院 総合診療科 後期研修プログラム責任者(家庭医療コース)、日本内科学会専門医部会幹事(講演会担当)、ACP Japan Chapter PRC委員、日本病院総合診療医学会評議員。
今回は診断エラーの中でも、システムエラーについてご紹介したいと思います。
診断エラーは、症例の10~15%に生じることが知られています1)。また、米国では診断エラーによる死亡が死因の第 3 位と推計されています2)。こうした診断エラーは近年、診療に携わった医師の能力や行動の問題であるものの、医療提供システムの中にある問題(システムエラー)であると捉えられるようになってきました3)。システムエラーは、特に診断プロセスで重要となってくる情報収集、情報統合・解釈、暫定診断に大きく関与します4)。
システムエラーを招き得る要因として、医療資源(設備、人手、時間など)の不足、過剰な労働、ストレス、疲労、患者に対する陰性感情などが代表的です5)。しかしながら、医療資源の不足や過剰な労働は、個人で解決するのが難しい問題です。今回はシステムエラーの中でも、「患者に対する陰性感情」にフォーカスして考えていきたいと思います。