
印税とは税金ではないのですが、その昔、検印の方法が印紙税と似ていたことから「税」という言葉が使われています。
以前、医学雑誌などへの原稿料について書かせていただきました(「その和文総説、原稿料は適正ですか?」)。今回は、医学書の印税の話です。とはいえ、私が書いている本は、『忙しい医師でもできる Dr.Kの株式投資戦術』『マンガでわかる Dr.Kの株式投資戦術』(いずれも中外医学社)、『医学生・若手医師のための誰も教えてくれなかったおカネの話』(金芳堂)という金まみれの本なので、あくまでどのくらいの印税が相場なのかというお話になります。
著者の印税は、出版契約で決められる印税の支払い方法によります。基本的には、刷り部数契約(発行部数に応じて印税が支払われる契約。売れなくても刷った部数は保証されるので著者にはありがたい)、実売契約(実際に売れた部数に応じて印税が支払われる契約)の2つがあります。
私の聞く範囲では、医学系出版社はほぼ実売契約です。刷り部数契約だったこともありますが、ベストセラーだったり著者に知名度があったりしない限り、最近は「初刷り(第一刷)」の冊数をかなり絞ることが多いようで、刷り部数契約の方が著者にとって大きく有利というわけでもありません。なお、電子書籍も一緒に出す場合、これには「刷り」という概念がないので、100%実売契約になります。
実売契約ですが、大手医学系出版社の場合、「売れなくても、最初に初刷りの○%分(もしくは○冊分)の印税を先に支払う」という初版保証が付いています。これは、「著者がかわいそうだから」というよりも、印税支払いの事務作業を少なくしたいという出版社の思惑もあるようですが、詳しいことは割愛します。
印税の相場は、著者による書き下ろしで、出版社側のコストがそれほどかからない場合は10%です。私の経験(およびリサーチ)でもほぼ全例10%で、大手出版社では増刷がかかるとプラス数%のプレミアムが付くこともあるようです。