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PCR検査“陰性証明ビジネス”に価格破壊

2020/12/14

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行してもうすぐ1年。当初と比べると、PCR検査のハードルがかなり下がってきた印象です。初めに言っておきますが、無症状の人に「商売」として広くPCR検査を行うことには個人的に大反対です。公衆衛生学的にはあまり意味がないからです(この話は議論の余地があって長くなるので、ここでは割愛します)。ただ、例え接触歴がなくても、医師が検査すべきだと判断すればPCR検査は公的保険でカバーされることになっており、「念のために」くらいの目的でも査定されずに保険適用されているのが現状です。

 PCR検査を外注する場合、保険点数は1800点(=1万8000円)です(微生物学的検査判断料150点は無視します)。これは検査の外注価格とほぼ等しく設定されており、検査をしても医療機関の利益はほとんど残りません。そしてこの外注価格は今もあまり下がっていないはずです。

 一方、医療機関内で検査を行う方法(in house検査)だと、保険点数は1350点とされています。元来、院内でPCR検査を行う場合の検査試薬などのランニングコストは8000円程度でした(そして、後述しますが、この価格はさらに下がっているはずです)。診療報酬が低く設定されているとはいえ、検体数を増やすことでコストを抑えることができ、公費による全額補助が下りれば、in house PCR検査の方がお金を生み出せる構造になっています。

 もちろん、鼻咽頭ぬぐい液を医療者が採取するためにはフェイスガード、サージカルマスク、手袋、ガウンなどの感染防御を行う必要があり、その分の人件費・コストがかかるでしょう。ただ、最近は唾液検体でもPCR検査が可能であることが示され、これだと被検者が検体を自己採取することもできるので、感染対策のコストは下がります。

 要は、公費負担の検査であっても、検査すればするほどもうかる仕組みが生まれつつあります。

著者プロフィール

ドクターK●関西の病院で働く30歳代勤務医。リーマンショック後に株式投資に目覚め、資産運用を開始。幾度となく挫折を味わいながら勉強を続け、アベノミクスに乗じて投資資金を大きく増やす。著書に「忙しい医師でもできる Dr.Kの株式投資戦術」。

連載の紹介

Dr.Kの「医師のためのバリュー投資戦術」
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