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“億ション”を買い、すぐギブアップした研修医

2019/07/12

 ある後期研修医の話。彼が分譲マンションを買ったというウワサが院内に流れてきました。

 私は、そのマンションの値段を聞いて驚きました。……何と、1億円だったのです!

 地方都市や田舎では、それなりの広さの分譲マンションでも3000万円台で手に入りますが、都市部ともなると「この広さで1億円かよ」とがっかりする物件がチラホラあります。

 後期研修医になると、多くの医師が結婚して子どもも生まれ始めます。となると、次に必要になってくるのが「家族の住まい」なのですが、それをいきなり購入する人が多い。それもなぜか、一軒家よりも分譲マンションを買うドクターが多いです。一軒家であれ分譲マンションであれ、不動産を売却するのは時間がかかるので、異動があったときに身軽でいられることに重点を置くなら賃貸一択だと思うのですが……、なぜか分譲マンションを買っている人が多いのです。

 医師が職業を明かした上で不動産会社にマンションの購入相談をすると、結構高い物件をふっかけられるようです。1億円のマンションなんて、普通は候補に上がらないですからね。まあ本人が納得して買っているのですから悪徳不動産会社とまでは言いませんが。

 さて、1億円でマンションを購入したこの後期研修医、その後どうなったでしょうか。

 実は1500万円まで払ったところでギブアップ宣言しました。

 一般的に、住宅ローンを組むときは抵当権を設定します。抵当権というのは、金融機関で住宅ローンを組む際、対象物件にかける担保のことです。銀行などの金融機関は、不動産に対する担保を条件に融資してくれているのです。つまり、途中で住宅ローンを返せなくなると、対象物件を金融機関に渡さなければなりません。

 すなわち、ローンを完済して抵当権を外さなければマンションの売却ができない(=抵当権付きの不動産は誰も買わない)のです。厳密にいえば、マンションの売却金額が住宅ローンを上回っていれば、それでローンを完済し、抵当権の抹消と同時に売却することができます。

 ただ、売却するにもコストがかかるのが不動産です。売却の際は仲介手数料として売却金額の約3%を取られるので、例えば先ほどの物件が7000万円で売れたとしても、約200万円の手数料を負担しなくてはなりません。当時、この後期研修医にはほとんど自己資金がなかったと考えられますので、痛い出費になります。

 結局、この後期研修医は“億ション”を住宅ローンの残高(約8500万円)と同額で売りに出したようです。しかし、買い手がなかなか付かず、かなり低い値段で物件を手放したと風の噂で耳にしました。

※マンションの売却金額が住宅ローンを上回らず、差額分のローンの繰り上げ返済もできない場合は、抵当権が外れないので通常の売却ができません。「任意売却」や「競売」など別の手法で売却することになります。

著者プロフィール

ドクターK●関西の病院で働く30歳代勤務医。リーマンショック後に株式投資に目覚め、資産運用を開始。幾度となく挫折を味わいながら勉強を続け、アベノミクスに乗じて投資資金を大きく増やす。著書に「忙しい医師でもできる Dr.Kの株式投資戦術」。

連載の紹介

Dr.Kの「医師のためのバリュー投資戦術」
忙しい? 時間がない? そんなあなたも大丈夫! 日常臨床をバリバリこなす超多忙な現役若手医師が、バリュー投資と上手な資産運用のコツを教えます。【注】当コラムは投資にあたっての参考情報を提供するものです。投資判断は自己責任でお願いします。

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