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もう一度言う。仮想通貨への投資はやめなさい

2018/03/22

 以前、「仮想通貨に投資? そんな人の気が知れない」でも書いたように、適正価格が客観的に判断できない仮想通貨は、投資ではなく投機(ギャンブル)です。

 2018年1月26日、日本最大級の仮想通貨取引所だったコインチェックから5億2300万XEM(当時のレートで約580億円)が不正送金される事件が発生しました。これにより、お笑い芸人などの芸能人が大きな損失を被ったことが話題になりました。個人的には、資産の多くをそんな取引所に放置しておく人がこんなにいるのか、と驚きました。

 例えば、胡散臭い見知らぬ人物が「あなたのお金、ビットコインに変えましょう。私が増やしてあげますよ」と近づいてきて、「お願いします」となけなしの貯金を投じる人がいるでしょうか? 「なんかちょっと怪しいけど、みんな儲かってるらしいし、きっと大丈夫」などとよく分からない理由をつけて何百万円も預けてしまう。仮想通貨とはそういう魔力を持っているようです。

 投資したときに熱に浮かされている分、いざ預けたお金が全部なくなります!とニュースになると、「ふざけるな!俺の金を返せ!」と権利を主張して騒ぎ立てるのです。そんなもん、自己責任でしょうよ。

 仮想通貨には、株式や債券のような信託保全がありません。要は、誰も価値を保証してくれない、損失を補償してくれない、ということです。100万円投資して、翌日取引所が倒産したら、その100万円はあっという間にゼロになります。仮想通貨投資とは、そういう世界であることを認識すべきです。

 いつだったか、「遊戯王のカードのルールが変更されたためカードの価値がゼロになるかもしれない」というニュースが流れました。プレミアカードを何万円もかけて入手していた人たちは焦りました。手元にある高価値と思っていたカードがただの紙切れになるんですから。

 仮想通貨は、それと同じです。ある日突然、誰かの気まぐれで、価値がなくなる可能性すら秘めているのです。

 コインチェックのハッキング騒動後に、面白い現象がありました。仮想通貨は数えきれないくらいの種類があるのですが、たくさんの通貨が一斉に急落したのです。今回の事件は、コインチェックという取引所に問題があっただけで、仮想通貨の価値そのものは変わらないはずなのです。それなのに、値を下げた。

 この現象をどう解釈するかは、見解の分かれるところでしょうが、私に言わせれば、仮想通貨の価値なんて、所詮そんなもんだということです。金融市場として、全く成熟していない状態なのです。

 前回のコラムを書いた時から、私の周りにも「仮想通貨の勉強をしたい」という人が増えました。ごめんなさい、言葉は悪いですが、愚かなことだと私は思っています。そもそも、仮想通貨に勉強もへったくれもないのです。株式や債券のように経済的なロジックで算出される価値とは違い、仮想通貨にあるのはただただ需給のみです。

 元は何ら価値のない、実体のない、バーチャルマネーです。だからこそ「仮想」通貨なのです。

著者プロフィール

ドクターK●関西の病院で働く30歳代勤務医。リーマンショック後に株式投資に目覚め、資産運用を開始。幾度となく挫折を味わいながら勉強を続け、アベノミクスに乗じて投資資金を大きく増やす。著書に「忙しい医師でもできる Dr.Kの株式投資戦術」。

連載の紹介

Dr.Kの「医師のためのバリュー投資戦術」
忙しい? 時間がない? そんなあなたも大丈夫! 日常臨床をバリバリこなす超多忙な現役若手医師が、バリュー投資と上手な資産運用のコツを教えます。【注】当コラムは投資にあたっての参考情報を提供するものです。投資判断は自己責任でお願いします。

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