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知り合いの内科医が不動産投資に失敗した話

2017/09/07

 金融業界や投資の世界では「属性」という言葉が使われます。その人の年収、職業、勤務年数などによって、彼らが勝手に一般人を「高属性」とか「低属性」とかにレベル分けしているのです。医師は、もちろん高属性です。医師という職業に就いているだけで「高属性」と判定されるようです。生涯にわたって高い収入が得られるからなのでしょう。

 この高属性である医師には、不動産投資の勧誘が異常なほど舞い込みます。これはもう異常と言っていいと思います。これをお読みの医師のみなさんのところにも、電話やら、ダイレクトメールやら、あらゆる手段を使って不動産投資のお誘いがひっきりなしに来てますよね。

 中には、こうした勧誘に乗って不動産投資をしている医師もいます。この医師による不動産投資、成績はどうなのでしょうか。

今から不動産投資を始める医師は「ただのカモ」

 実のところ、私の知り合いで不動産投資に成功している医師も何人かいます。でも、それを大きく上回る数の医師が、不動産投資で失敗しているのを目の当たりにしています。

 私の知り合いで、区分マンション投資に失敗した内科医がいます。彼は、2戸の投資用マンションを保有していました。そのうち1つは4LDKのファミリー向けマンションだったのですが、田舎にあるため入居状況は芳しくありませんでした。結果的に、この物件だけで年間50万円の持ち出し(赤字)が生じていました。

 他にも、投資用マンションを複数購入し、その購入代金の90%以上をローンで借り入れているという医師もいました。不動産投資を勧誘してくる営業マンは、そういう負の側面を一切表に出さず、まるで不動産投資が「打出の小槌」であるかのようにアピールしてきます。

 私は不動産投資を1つの投資法として認めています。拙著『忙しい医師でもできるDr.Kの株式投資戦術』にも書いていますが、しっかり勉強すれば不動産投資は「アリ」です。

 不動産投資も、FX(外国為替保証金取引)も、債券投資も、私はそれぞれを投資法として認め、メリット・デメリットを理解しています。その上で、私が「株式投資」をチョイスしているのには、2つの大きな理由があります。1つは、情報格差が少ないから、もう1つは、レバレッジがかからないからです(信用取引を使ってレバレッジをかけることはできますが、かけなければよいだけの話です)。

 株式は多くの人が同じ銘柄を売買しているので、ある程度は妥当な値段がついています。しかし、不動産投資は相対取引です。物件ごとに値段がバラバラですし、売主側が多くの情報を持っているので、投資側とは大きな情報格差があるのが普通です。つまり「入口」の段階から、すでに不利な戦いから始まっているのです。

 ましてや、この先、空室リスクが高くなる「不動産戦国時代」に突入すると専らの噂です。また今は、未曽有の低金利状態とはいえ、不動産の投資利回りは低下し続けています。今後おそらく不動産投資をする人は減っていくでしょう。不動産投資に長けた一部の医師は、それを逆手にとって色々なバリュー物件を買って成功すると思います。でも、それができるのは、不動産投資を熟知している医師だけです。

 今から不動産投資を始めようとする医師は、ただのカモです。銀行などの金融機関としては、融資を必要とする顧客が減っては困りますから、右も左も分からない不動産投資初心者の医師を、不動産投資にうまいこと丸め込みたいわけです。

「医師は融資を受けやすい」は本当だが…

 医師向けの不動産投資の勧誘(営業)では、間違いなく「医師は、銀行からの融資を受けやすいので、不動産投資を始めやすいんですよ」と言ってくるはずです。「医師は、銀行からの融資を受けやすい」。これは本当です。実際に不動産投資を始めようとすると、医師免許をこれほど活用できる投資はないと実感するはずです。

著者プロフィール

ドクターK●関西の病院で働く30歳代勤務医。リーマンショック後に株式投資に目覚め、資産運用を開始。幾度となく挫折を味わいながら勉強を続け、アベノミクスに乗じて投資資金を大きく増やす。著書に「忙しい医師でもできる Dr.Kの株式投資戦術」。

連載の紹介

Dr.Kの「医師のためのバリュー投資戦術」
忙しい? 時間がない? そんなあなたも大丈夫! 日常臨床をバリバリこなす超多忙な現役若手医師が、バリュー投資と上手な資産運用のコツを教えます。【注】当コラムは投資にあたっての参考情報を提供するものです。投資判断は自己責任でお願いします。

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