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投資で1億円を稼いだ「億り人」の生活とは

2017/04/14

 「おくりびと」という言葉があります。2008年に公開された滝田洋二郎監督の映画タイトルですが、投資の世界では別の意味で使われています。それは、投資によって資産1億円を達成した人のことです。文字にすれば「億り人」。まあ、つまるところ、ただのダジャレです。

 資産1億円は個人投資家にとって1つの壁と言われています。1億円あれば、老後は問題なく生活できるだろうというレベルですし、うまく運用すれば配当金だけで年間300万円ほど収入が得られます。とはいえ医師の場合には、普通に働くことで貯蓄1億円を達成できる可能性もありますから、資産運用で億り人を目指す人はそうはいませんが。

 億り人の厳密な定義はありませんが、基本的には運用資産から投資元金を差し引いて、純増分が1億円以上の場合にそう呼ぶことが多いようです。つまり、300万円の元手から1億300万円まで増やした場合に億り人と呼ばれますが、9000万円の投資信託を1年間運用して1億円になっても億り人にはなりません。

 私がSNS上で情報交換している個人投資家の多くは億り人で、マネー雑誌などにもよく顔を出しています。中には10億円、100億円レベルの個人投資家もいます。巨額の資産を持っている個人投資家からすれば1億円なんて端金(はしたがね)かもしれませんが、多くの一般人にとってはあこがれの金額ですよね。

 実際の億り人は、どういう生活をしているのでしょう。私の億り人の知り合いを2人紹介しましょう。

警備員の億り人

 地方都市に住んでいる警備員で見た目は40歳くらいです(年齢は内緒にしろとキツく言われています)。運用資産は2億円ほどで、そのうち5000万円は現金で置いているそうです。元手800万円から、ユニクロを経営するファーストリテイリング(9983)や任天堂(7974)の売買で億り人になりました。(4ケタの数字は証券コード)。

 私が彼と2回目に会ったときのことです。上下ユニクロ、髪は1000円カットで切ってもらったらしい簡素なヘアスタイルです。あんた、どんだけユニクロ好きやねん。

 「いやあ、昨日はゲームしすぎちゃって朝寝坊してさー」と私に言いながら、2人でスタバに入りました。「うーん、高いなあ、このコーヒー」。ボサボサと頭を掻きながらどのコーヒーを頼もうか悩む彼。とてもじゃないが2億円の資産を運用している人には見えない。

 結局、無難なホットコーヒーを頼み、彼は携帯電話をピコピコとイジり始めました。投資情報でもチェックしているのかなと思っていると、彼はこう言いました。
「ああコレ?最近、課金してるんだよねケータイゲームに」
「へぇ、どのくらい?」と私が聞くと、彼はこう返しました。
「んー、だいたい、月100万円くらい」

 口に含んだキャラメルマキアートを思わず吹きだしそうになりました。月100万円もゲームに課金したら、普通の日本人は生活していけません。しかし、彼は自分の資産のうち、趣味であるケータイゲームにたくさんのお金を惜しまず使っているのです。ファッションやグルメにはお金を使わず、ケータイゲームに注力している。

 「でも、ゲームばかりやってるとさすがに目が疲れるしさ、警備員の仕事を続けて気分転換しなきゃね」。彼は、今もスマホゲームに大量の課金をしているそうです。

大学生の億り人

 5年ほど前でしょうか、ある私立大学の大学生と個人投資家の集まりで話す機会がありました。20歳の女性で、見た目はちょっとギャル風です。ヨイショしても一流大学とは言いがたい無名の大学でしたが、彼女と話していると、会話がスムーズに進むことに気付きました。「頭の回転が速いな」と感じました。

 彼女はマザーズなどの新興企業に積極的に投資しており、私からすればかなりハイリスクな投資家という印象でした。しかし、売買の見極めが早いのか、投資を始めて2年で運用額が30倍になったそうです。

 「アルバイトで貯めた350万円を投資につぎこんだんですよね」。

 そう彼女は言いました。ん?ちょっと待てよ。350万円×30=1億500万円!そう、彼女は億り人だったのです。私もたくさんの個人投資家と会いましたが、大学生で資産1億円を達成しているのは彼女しか知りません。

 ただ、彼女はリスクをかなりとっているため、翌日にその1億円が7000万円になってもおかしくありません。それらを全て承知の上で投資しているのです。彼女にとっては織り込み済みのリスクというわけです。

 余剰金で贅沢はしないのか?と聞くと、こんな答えが返ってきました。

 「そんなお金があったら投資に回しますよ」

 実は、この答え、個人投資家の常套句なんです。「クリスマスに何が欲しい?」→「株」、「ボーナス出たら何を買う?」→「株」という具合。

 まだ成人したばかりの彼女も、根っからの投資家だったわけです。

 「億り人」はさぞかし派手な生活を送っていると思われるかもしれませんが、この2人を見ても分かるように、実はそうでもありません。また私のようなバリュー投資家は、スーパーの安売り時間帯を狙って食材を買いに出かけたり、交通費をケチって歩いたりする、節約志向が根本にあります。

 100億円以上資産を持つある有名投資家は、昼ごはんはカップラーメンやチェーン店の牛丼で済ませてしまうことが多いらしいです。その気になれば、毎日シェフを自宅に呼べたりするんでしょうけどね。

著者プロフィール

ドクターK●関西の病院で働く30歳代勤務医。リーマンショック後に株式投資に目覚め、資産運用を開始。幾度となく挫折を味わいながら勉強を続け、アベノミクスに乗じて投資資金を大きく増やす。著書に「忙しい医師でもできる Dr.Kの株式投資戦術」。

連載の紹介

Dr.Kの「医師のためのバリュー投資戦術」
忙しい? 時間がない? そんなあなたも大丈夫! 日常臨床をバリバリこなす超多忙な現役若手医師が、バリュー投資と上手な資産運用のコツを教えます。【注】当コラムは投資にあたっての参考情報を提供するものです。投資判断は自己責任でお願いします。

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