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その爪の形、何が原因?(その5)
爪がとても厚く曲がって、切れません…

2019/12/16
佐藤 俊次(さとう皮膚科)

 今回は爪の形態異常、爪甲の肥厚、変形、などの病変です。

 爪甲が厚くなったり、曲がったりして靴を履いた歩行時に痛かったり、爪切りができなくなった、などの主訴で来院する方がいます。高齢者だけでなく壮年の女性にも多く見られます。

 何らかの理由により爪甲が厚くなったために靴の圧迫が生じ、第1趾が痛む、手の爪甲の場合には爪の色の変色を訴えます。また、爪甲が厚いために通常の爪切りでは刃が挟まらずに切れないため、長期間爪切りをせず放置した結果、特徴的な変形を来したものも見られます。これらの爪甲は伸展が非常に遅くなっているため、なかには真菌などの感染症を起こしたケースも存在します。

 爪甲が厚くなったり、曲がったりする変形には大きく分けて、1)厚硬爪甲、2)爪甲鉤弯症、3)爪甲下角質増殖、の3つが考えられます。ただし、成書においてもこれら3型の明瞭な鑑別法は述べられていません。1)の重症形が2)、1)の原因が確定したものを3)とこのコーナーでは定義してみます。

 なお、今回の病変は知ってさえいれば臨床診断は容易なので、ダーモスコピー画像はでてきません。

1)厚硬爪甲:爪甲が厚く、硬くなります(図1、2)。爪甲と爪床との間に角質物質が詰まり、この角質物質が硬く、爪甲と一体化して厚くなっています。爪甲の伸びは遅く、色調は不透明で褐色・灰色となります。指趾の1本に生ずることもあれば、複数に生じることもあります。爪甲の加齢性変化の1つと考えられていますが、原因は不明です。

図1 指の厚硬爪甲の臨床写真 爪甲が厚く、硬くなり、色調は不透明で褐色・灰色を示す。
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図2 足趾の厚硬爪甲の臨床写真 爪甲が厚く、色調は不透明で黄褐色を示す。爪甲基部に横線条が見られるので外傷が原因と推測される。次に出てくる爪甲鉤弯症の初期かもしれない。
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著者プロフィール

佐藤俊次氏(さとう皮膚科[東京都杉並区]院長、皮膚科専門医)●さとう としつぐ氏。1982年防衛医科大学校卒、同年同大皮膚科学教室入局。88年日本皮膚科学会認定皮膚科専門医取得、89年日本医科大学第2病理学教室で医学博士取得。90年東京都杉並区でさとう皮膚科を開業。2010年からオーストリア・グラーツ医科大学の「Basic Dermoscopy Course」(e-ラーニング)を受講開始。14年同コースを終了し、「Basic Dermoscopy Diploma」取得。

連載の紹介

佐藤俊次の「毎日使うダーモスコピー!」
診療報酬が付く前から独学でダーモスコピーを学び、開業医でありながら、自らの研究成果を国内のみならず海外学会でも発表してきた佐藤氏が、毎日の診療で役立つダーモスコピー活用のポイントを解説します。ダーモスコープ最大手の米国3Gen社の社長から直々に貰った1台は佐藤氏思い出の一品です。
この連載を書籍化しました!
『プライマリ・ケア医のための今日から使えるダーモスコピー』好評発売中

 このたび、この連載「佐藤俊次の『毎日使うダーモスコピー!』」を書籍化いたしました。
 2016年6月から開始したこの連載は、患者の主訴を皮切りとして、ダーモスコピー像を見ながら鑑別疾患を考えていく注目コラムです。
 書籍では、16の主訴を中心に、合計700枚を超える写真をふんだんに使いながら、日常診療でよく見られる皮膚疾患のダーモスコピーの見方を解説しています。ダーモスコピー像に加えて、ダーモスコピー像を画像変換して構造や血管走行などを見やすくした画像を併記しているのは、本邦初です。この画像変換は海外学会でも報告され、ダーモスコピーの理解を助ける方法として注目されています。
 さらに書籍には、日常診療でよく遭遇する皮膚疾患をまとめたカラーアトラスを別冊として同梱。患者説明などにご利用いただけます。
 ぜひ、日々の診療にご活用ください。(佐藤俊次著、日経BP社、7500円+税)

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