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湿疹の痒みが引きません。内臓が悪いのですか?

2016/09/20
佐藤 俊次(さとう皮膚科)

 皮膚科を受診する患者さんの中で最も多い疾患は湿疹・皮膚炎で、中でも代表はアトピー性皮膚炎や接触皮膚炎です。アトピー性皮膚炎は慢性疾患であり、皮膚のバリアー機能が低下しているために様々な皮膚症状を呈します。接触皮膚炎は外界の刺激物が原因となり引き起こされる皮膚炎です。よって、丁寧な問診により原因が推測可能であることが多いと思います。接触皮膚炎はバリアー機能の低下したアトピー性皮膚炎に合併することもあります。治療はステロイド軟膏の外用が基本で多くの症状は軽快します。

 今回は湿疹・皮膚炎と診断した疾患の中に意外な原因が見つかった、そんなお話です。

 82歳女性。2カ月前から体が痒くなり、内科のかかり付け医を受診して「湿疹」と診断されジフルプレドナート軟膏(商品名マイザー他)とエピナスチン錠(アレジオン他)が処方されました。当初は痒みも治まり順調な経過でした。治療後2週間を過ぎたころから再び痒みが出現しましたが、同じ処方にて経過を見るように指示されました。

 今度は、痒みは一向に治まらず、その上、体幹・上肢に赤いブツブツが出てきました。患者さんは、「自分がとっても神経質だからチョットの痒みでも気になってすぐに掻いてしまう」のが原因と思い、部屋の掃除、衣服の選択、寝具の天日干しなど考え付くあらゆることをしたと言います。それでも一向に痒み症状は良くならず、痒くて夜も眠れず「辛い」といって当院を受診しました。「こんなに長い間治らないのでどこか内臓が悪いのじゃないかしら?」といいます。

 初診時の皮膚所見では、体幹・上肢の乾燥・掻把痕、2~3mm大の紅色の丘疹が散在してみられます(図1A、B)。顔面には特に皮膚所見はありません。

著者プロフィール

佐藤俊次氏(さとう皮膚科[東京都杉並区]院長、皮膚科専門医)●さとう としつぐ氏。1982年防衛医科大学校卒、同年同大皮膚科学教室入局。88年日本皮膚科学会認定皮膚科専門医取得、89年日本医科大学第2病理学教室で医学博士取得。90年東京都杉並区でさとう皮膚科を開業。2010年からオーストリア・グラーツ医科大学の「Basic Dermoscopy Course」(e-ラーニング)を受講開始。14年同コースを終了し、「Basic Dermoscopy Diploma」取得。

連載の紹介

佐藤俊次の「毎日使うダーモスコピー!」
診療報酬が付く前から独学でダーモスコピーを学び、開業医でありながら、自らの研究成果を国内のみならず海外学会でも発表してきた佐藤氏が、毎日の診療で役立つダーモスコピー活用のポイントを解説します。ダーモスコープ最大手の米国3Gen社の社長から直々に貰った1台は佐藤氏思い出の一品です。
この連載を書籍化しました!
『プライマリ・ケア医のための今日から使えるダーモスコピー』好評発売中

 このたび、この連載「佐藤俊次の『毎日使うダーモスコピー!』」を書籍化いたしました。
 2016年6月から開始したこの連載は、患者の主訴を皮切りとして、ダーモスコピー像を見ながら鑑別疾患を考えていく注目コラムです。
 書籍では、16の主訴を中心に、合計700枚を超える写真をふんだんに使いながら、日常診療でよく見られる皮膚疾患のダーモスコピーの見方を解説しています。ダーモスコピー像に加えて、ダーモスコピー像を画像変換して構造や血管走行などを見やすくした画像を併記しているのは、本邦初です。この画像変換は海外学会でも報告され、ダーモスコピーの理解を助ける方法として注目されています。
 さらに書籍には、日常診療でよく遭遇する皮膚疾患をまとめたカラーアトラスを別冊として同梱。患者説明などにご利用いただけます。
 ぜひ、日々の診療にご活用ください。(佐藤俊次著、日経BP社、7500円+税)

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