日経メディカルのロゴ画像

第86回米国心臓協会・学術集会
院外心停止蘇生後の低体温療法、目標33℃は目標36℃と同等の生存率

2013/11/21
日経メディカル オンライン 循環器プレミアム

スウェーデンLund UniversityのNiklas Nielsen氏

 院外心停止蘇生後の低体温療法において、深部体温の目標を33℃とした場合と36℃とした場合を比較したところ、両群で同等の生存率だったことが示された。950人規模の患者を対象に、10カ国の36医療施設が参加して行われたTTM試験の成果で、スウェーデンLund UniversityのNiklas Nielsen氏が11月18日、米ダラスで開催されていた第86回米国心臓協会・学術集会(AHA2013)で発表した。

 AHAの心肺蘇生と救急心血管治療のためのガイドライン(2010年)によると、院外での心停止後、自己心拍が再開した昏睡状態の患者に対しては、12~24時間32℃~34℃に冷却する低体温療法を実施することを推奨している。再灌流障害を予防する、脳代謝を抑制することで酸素消費量を減らす、脳神経障害を軽減する、などが目的だ。

 Nielsen氏らは、最適な深部体温の目標温度を探るために、33℃と36℃のそれぞれに目標設定した低体温療法を行い、両者の効果を比較した。

 試験に参加したのは欧州とオーストラリアの10カ国、36医療施設。対象患者は950人だった。

 試験では、院外での心停止後、自己心拍が再開した昏睡状態の患者を4時間以内に登録し、36時間にわたって低体温療法を実施した。その後、72時間後に予後を判定。生存者については、退院から180日間フォローアップした。以降、956日間、観察を続けた。

 対象患者は蘇生後自己心拍が再開した18歳以上の患者で、心停止の原因が心臓と考えられ、昏睡状態(Glasgow Coma Scale<8)にある症例とした。目撃者のいない院外心停止例、自己心拍が再開から4時間以上たっている症例、体温が30℃以下の症例などは対象から除外した。

 主要評価項目は生存率、副次評価項目は180日時点の死亡と神経学的予後、さらに有害事象の発生とした。

 対象患者は無作為に割付けられ、33℃群が473例、36℃群が466例となった。両群の患者背景には群間で著しい差はなかった。

 介入の結果、カプランマイヤー法により生存率をみたところ、無作為化から180日の時点で、33℃群は50%、36℃群は48%で、両群に有意差は見られなかった(ハザード比[HR]:1.06、95%信頼区間[CI]:0.88-1.16、P=0.51)。副次評価項目とした、神経学的予後、有害事象の発生においても、両群で有意差は認めなかった。こうした成績は、あらかじめ予定していたサブグループ間においても同様だった。

 これらの結果からNielsen氏らは、低体温療法の目標温度を33℃とした場合の効果は、36℃と比べて変わらなかった、と結論した。

連載の紹介

循環器プレミアム Selection
循環器科専門医向けサイト「日経メディカル Online循環器プレミアム」では、NMOの通常のコンテンツに加えて、1日1本程度、循環器科領域のオリジナル記事を配信しています。本コラムでは、循環器プレミアムのオリジナル記事の中から、他の診療科の先生方にも関心が高いと思われる記事をセレクトして掲載します。

この記事を読んでいる人におすすめ