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第24回 患者のタイプ分け
3タイプの違いを知り伝達力高める

2018/07/30
奥田弘美(精神科医、メディカル&ライフサポートコーチ研究会代表)

退院後に自宅療養に移る予定の患者に、主治医が吸引器の使い方を説明している。

医師 退院まであと1週間ですね。ナースから、自宅での吸引器の使い方の指導を受けましたか?
患者 ええ。ただ、目の前で1度実演してもらっただけなので、1人できちんとできるか自信はありません。
医師 そうですか。じゃあ、使い方を分かりやすく説明したプリントをお渡ししますね。このように、まずこうして……(と図を指し示しながら説明)。どうです、簡単でしょう?
患者 はあ……。(自信なさげに生返事)

 医師は、図を使って患者に吸入器の使い方を説明しているが、患者はいまひとつ飲み込めていない。この患者は視覚的に物事を理解するタイプではないことが、話がうまく伝わらない原因だと思われる。

 コーチングの背景となっている「神経言語プログラミング」という心理療法的コミュニケーション技法では、人が情報を処理したり自分の考えを表現する際の手法には、3つのタイプがあると考える。具体的には、視覚優位VISUAL)、聴覚優位AUDITORY)、体感覚優位KINETHETIC)の3タイプである。そして、主として使う手法は、人によって異なるとされている。

 神経言語プログラミングについては、心理療法という面では学術的な信頼性に問題があるとされているが、この3タイプごとの違いと、それぞれのタイプに適した説明方法を知っておくことは、患者と良好なコミュニケーションを構築するために大いに参考になる。

著者プロフィール

おくだ ひろみ●1992年山口大学医学部卒。精神科医(精神保健指定医)、日本で初めて、医療分野へのコーチングを応用。著書に「メディカルサポートコーチング」(中央法規)、「医者になったらすぐ読む本〜医療コミュニケーションの常識とセルフケア」(日本医事新報社)など。メディカル&ライフサポートコーチ研究会主宰。

連載の紹介

患者の心を開くメディカル・サポート・コーチング塾
コーチングとは、人の自主性を引き出すことを主眼としたコミュニケーション法のこと。これを医療者向けにアレンジしたのがメディカル・サポート・コーチングです。月刊誌『日経ヘルスケア』の過去の連載記事を再編集しました。

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