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第22回 アイスブレイキング
「視覚」「聴覚」で患者の緊張を解く

2018/06/25
奥田弘美(精神科医、メディカル&ライフサポートコーチ研究会代表)

検診の結果が気になり来院した初診患者に、医師が対応している。

医師 (ぶっきらぼうな言い方で)○○さん、どうぞ。
患者 (おずおずと)お願いします。
医師 (問診票を見ながら無表情に)え~っと。今日は、検診の結果、血圧が高いということでお越しになったのですね。
患者 あ、はい。そ、それと最近、動悸もよくするんです。
医師 (カルテに書き込みながら患者の方は見ずに)そうですか。じゃあ、今から看護師に血圧と心電図を測らせますので、処置室へ行ってください。その後、また説明しますから。
患者 あ、はい……。(すごすごと退室)

 よくある初診の風景だが、患者は終始緊張気味で、医師に対して遠慮がちである。

 このように、患者がリラックスから程遠い状態にあれば、診察を通じて良好な関係を築くのは難しい。医師は診療に必要な情報を引き出せず、患者も自分の悩みや要望を正確に伝えられなくなる。インフォームドコンセントなど、望むべくもない。

第一印象がコミュニケーションを左右する

 これまでは、メディカル・サポート・コーチングのスキルをベースに、会話を中心とした医療コミュニケーション術を紹介してきた。だが、コミュニケーションにおいて大切なのは、言葉だけではない。表情仕草声のトーンなども、患者の心を開く上での重要な要素となる。今回は、それらのポイントに焦点を当て、円滑なコミュニケーションに役立つ印象づくりについて解説したい。

 外見を含めた第一印象が、その後のコミュニケーションを大きく左右することは、コミュニケーション理論の中では「メラビアンの法則」としてよく語られる。これはアメリカの心理学者アルバート・メラビアンが調査・分析の結果、1971年に著書の中で提唱したもので、簡単にまとめると次のような内容である。

著者プロフィール

おくだ ひろみ●1992年山口大学医学部卒。精神科医(精神保健指定医)、日本で初めて、医療分野へのコーチングを応用。著書に「メディカルサポートコーチング」(中央法規)、「医者になったらすぐ読む本〜医療コミュニケーションの常識とセルフケア」(日本医事新報社)など。メディカル&ライフサポートコーチ研究会主宰。

連載の紹介

患者の心を開くメディカル・サポート・コーチング塾
コーチングとは、人の自主性を引き出すことを主眼としたコミュニケーション法のこと。これを医療者向けにアレンジしたのがメディカル・サポート・コーチングです。月刊誌『日経ヘルスケア』の過去の連載記事を再編集しました。

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