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第21回 行動のサポート(3)
過去の成功を思い出させる

2018/06/11
奥田弘美(精神科医、メディカル&ライフサポートコーチ研究会代表)

久しぶりに来院した糖尿病患者に、医師が、その間の体調管理について尋ねている。

医師 ここ数カ月受診されていませんでしたね。食事コントロールや運動は頑張って続けていますか?
患者 実は、3カ月前に異動になってから忙しくて……。両方ともきちんとできていないんです。今日の血糖値も、上がっているかもしれません。
医師 お察しの通り、今日は前よりもかなり悪い値です。忙しい時でも、食事ぐらいは気をつけてくださいよ。
患者 ただ、今度の部署は出張や接待が多くて、食事に気をつけるのが大変なんです。これまでもきちんとできないことが多かったし、自信がなくて……。
医師 そんなこと言っている場合じゃないでしょう。とにかく頑張ってください。
患者 (気乗りしない様子で)とりあえず努力してはみますが……。

 血糖値のコントロールに関してただ「頑張れ」と言うばかりの医師に対し、自信のない患者は、なかなか前向きな姿勢を示せない。

 やらなければいけないと分かっていても、一度頓挫したり、何らかの理由でモチベーションが落ちてしまうと、誰しもなかなか行動意欲がわかなくなる。患者がそうした状態に陥った場合、医師は、どのような形で患者を支援すればよいのだろうか。

 前回、患者が診療目標を達成する上での支援方法の1つである「行動のサポート」に関して、「視点の転換」というスキルを紹介した。今号では、同様に有効なサポート方法である「過去の成功体験を思い出す」を解説する。

成功体験を引き出す質問例

著者プロフィール

おくだ ひろみ●1992年山口大学医学部卒。精神科医(精神保健指定医)、日本で初めて、医療分野へのコーチングを応用。著書に「メディカルサポートコーチング」(中央法規)、「医者になったらすぐ読む本〜医療コミュニケーションの常識とセルフケア」(日本医事新報社)など。メディカル&ライフサポートコーチ研究会主宰。

連載の紹介

患者の心を開くメディカル・サポート・コーチング塾
コーチングとは、人の自主性を引き出すことを主眼としたコミュニケーション法のこと。これを医療者向けにアレンジしたのがメディカル・サポート・コーチングです。月刊誌『日経ヘルスケア』の過去の連載記事を再編集しました。

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