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第36回 上行大動脈解離
最悪の事態は油断とともにやってくる
エコー検査中にflapが左冠動脈の入り口を塞ぐ事態に

2018/01/15
Rimo(ペンネーム)
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 1日の検査も落ち着き、そろそろ片付けを始めようという夕刻に、内科外来から電話がかかって来た。オーダーは心電図と腹部エコーだ。昼からずっと背中が痛いと訴えている患者の内臓疾患を除外するためにエコーをやってほしいという依頼だった。すぐにでも実施可能なことを伝え、本人の来室を待つことにした。患者は75歳の男性で、検査室まで歩いて来室し、受け答えもしっかりしていた。ただ、顔色は悪く、ずっと眉間にしわを寄せていた。

 心電図では心房細動が見つかったものの、ST変化は見られなかった。次いで向かいのエコーベッドに移動し、同僚が腹部エコーを開始した。背部痛というので、膵炎などを念頭に検査を開始した。膵臓、肝臓左葉が見える走査で後方に映る大動脈に違和感を感じた検者が、大動脈に視点を移したところ、大動脈解離を発見した。検者はすぐに腹部走査を中止し、私を呼んで「腹部の大動脈に解離があります。すぐに心エコーをやってくれませんか?」と告げた。

 私は心エコーを開始した。プローブを当ててすぐに上行大動脈にも剥離した隔壁(flap)を視認(写真1)、Stanford A型の大動脈解離と判断し、迅速な検査に努めた。このとき同時に主治

著者プロフィール

様々な組織に所属し多様な業務に従事する臨床検査技師のグループが交替で執筆します。検査にまつわるあらゆる問題について意見交換を重ね、解決策を模索し、経験を積んだ精鋭が揃っています。

連載の紹介

医師の知らない?検査の話
臨床検査に関しての基礎知識や思わぬ落とし穴、多彩なエピソードなど、現場の視点ならではの考え方や発想も含めて、各分野に精通した臨床検査技師が、自身の経験を元にお伝えします。

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