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第33回 ミミッキング抗体と輸血
赤血球に吸着されるのに溶血は起きないの?

2017/10/30
荒木 延夫(兵庫県赤十字血液センター)

 血液型抗原に対する抗体には、真の抗原に反応する抗体だけでなく、別の抗原に反応しているが検査では真の抗原に反応する抗体のように見えるミミッキング抗体があります。ミミッキング(mimicking)とは「物まね、模倣」の意味です。赤血球に対するミミッキング抗体の存在が、輸血検査に混乱を生じさせることがあります。溶血しないように適合血を探す必要があるのかどうか、紛らわしい存在です。

抗E様のミミッキング抗体

 この症例は、65歳女性で卵巣癌の既往歴があります。軽度の貧血(Hb値10.1/dL)、溶血所見なし、妊娠歴2回、輸血歴なし。

医師:今日、入院された患者さんの血液型と不規則抗体検査の依頼を出しておいたけど、結果は出ましたか?
検査技師:先生、検査結果は不規則抗体陽性で、抗E抗体と同定しました。患者自己血球にも反応しましたので、患者Rh血液型を調べたところ、R2R2(ccDEE)でした。抗E抗体は自己抗体と考えられます(表1)。

著者プロフィール

様々な組織に所属し多様な業務に従事する臨床検査技師のグループが交替で執筆します。検査にまつわるあらゆる問題について意見交換を重ね、解決策を模索し、経験を積んだ精鋭が揃っています。

連載の紹介

医師の知らない?検査の話
臨床検査に関しての基礎知識や思わぬ落とし穴、多彩なエピソードなど、現場の視点ならではの考え方や発想も含めて、各分野に精通した臨床検査技師が、自身の経験を元にお伝えします。

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